【宮城県知事選挙2021】
村井よしひろ~少子化対策について~
県政運営の基本姿勢
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❶民の力を最大限生かす県政
震災復興の過程で生まれた「人のつながり」や「新しい価値観」を生かし、多様な主体との連携・協働を大事にしながら、引き続き、民の力を最大限に生かす県政を推進します。
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❷衆知を集める県政
現場に足を運び、県民の皆様の懐に飛び込んでご意見を伺ってまいります。また、引き続き情報公開等を通じて県政の透明性を確保し、パブリックコメント等を活用して県民の皆様に広く県政に参画していただきます。さらに基礎自治体である市町村のご意見をよく聞き、市町村の規模や体制に応じた支援を行います。
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❸最小のコストで最大の効果を上げる県政
効率的な行政運営を図るため県政のデジタル化を進めます。また、公共施設の計画的な更新・長寿命化、業務の効率化や働き方改革の推進、社会の構造変化に対応できる人材の育成など、不断の行財政改革に取り組みます。
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❹広域的視点に立つ県政
宮城県だけにとらわれず、産業や観光、防災など様々な分野において、東北各県と連携した取り組みを進めてまいります。
村井政策集2021
復興完遂 そして未来へ
富県躍進!“PROGRESS Miyagi”
~ 多様な主体との連携による活力ある宮城をめざして ~
政策集の目次
県民の皆様へ
これまでの16年
私が2005年(平成17年)に県政をお預かりしてから、まもなく16年になろうとしております。自衛官時代に学んだ「遠方目標」という考え方に着想を得て、知事就任後1年かけて策定した宮城県の遠方目標、「宮城の将来ビジョン」が、震災復興計画や地方創生総合戦略と共に昨年度末で終期を迎えました。
これまで、私は、宮城の将来ビジョンにおいて「富県共創!活力とやすらぎの邦(くに)づくり」を県政運営の理念として掲げ、すべての県民の皆様が「生まれてよかった、育ってよかった、住んでよかった」と思える宮城県にするため、まずはしっかりとした経済基盤を築き、そして創出された富の循環によって、福祉や教育、環境、社会資本整備などの取組を充実させることができるよう取り組んでまいりました。
また、東日本大震災後は、震災からの復旧・復興を最優先に、復旧にとどまらない抜本的な再構築や現代社会の課題を解決する先進的な地域づくりに全力で取り組んでまいりました。おかげさまで、最優先で進めてきた被災された方々の住まいの確保、生業の再建、市街地の再生などハード面の復旧・復興は概ね完了しましたし、創造的な復興のために、先を見据えて進めてきた新しい取組も成果を上げてきております。
これからの10年
今年4月からは、「新・宮城の将来ビジョン」がスタートしました。新ビジョンは、2030年(令和12年)を目標年度として、次のように、私たちが目指すべき10年後の宮城県の姿を描いております。
「私たちが目指す10年後の姿は、震災からの復興を成し遂げ、民の力を最大限に生かした多様な主体の連携により、これまで積み重ねてきた富県宮城の力が更に成長し、県民の活躍できる機会と地域の魅力にあふれ、東北全体の発展にも貢献する、元気で躍動する宮城です。そして、県民一人ひとりが、安全で恵み豊かな県土の中で、幸福を実感し、いつまでも安心して暮らせる宮城です。」
皆様は、SDGsという言葉を聞いたことがあると思います。これは、2015年に国連で採択され、2030年を目標年とする世界共通の目標で、「誰一人取り残さない」持続可能な世界の実現に向け、貧困の撲滅や教育の充実、働きがいと経済成長の両立、気候変動への対策、陸や海の豊かさを守るといった17のゴールが定められています。新ビジョンは、こうした考え方を取り入れながら策定しました。
現在、被災地は、ハードの復旧は完了の目途がつきましたが、被災者の心のケアなどのきめ細かなサポートについては、継続的に取り組んでいかなければならない状況にあります。また、人口減少・少子高齢化の進展に伴う課題や、大規模化・多様化する災害への備えにもしっかり取り組んでいかなければなりませんし、引き続き、新型コロナウイルス感染症対策にも万全を期していく必要があります。
私は、こうした様々な課題を克服していくためには、県民の皆様をはじめ、企業、NPO、大学・研究機関、行政など多様な主体との連携が不可欠だと思っています。そして、知事就任時に思い描いた、すべての県民の皆様が「生まれてよかった、育ってよかった、住んでよかった」と思える宮城県にするためには、これまで以上に多様な主体が連携しながら、県内経済を安定的に成長させ、生み出された富の循環によって、子育てや教育、福祉などに取り組んでいくことが重要だと考えています。
こうした考え方を背景に、新ビジョンにおいては、「富県躍進!“PROGRESS Miyagi”~多様な主体との連携による活力ある宮城を目指して~」を県政運営の理念として掲げました。
新ビジョンの5本柱
新ビジョンは、5つの柱で成り立っています。具体的には、「被災地の復興完了に向けたきめ細かなサポート」、「富県宮城を支える県内産業の持続的な成長促進」、「社会全体で支える宮城の子ども・子育て」、「誰もが安心していきいきと暮らせる地域社会づくり」、「強靱で自然と調和した県土づくり」の5つです。
本県は、昨年9月、全国に先駆けて「みやぎデジタルファースト宣言」を発表しました。これは、デジタル化を加速することによって、県民生活の利便性の向上や県内産業の活性化、行政運営の効率化に取り組み、地域経済の発展と社会課題解決の両立を目指すものです。
私は、政策を推進する際には、あらゆる分野においてデジタル技術をフルに活用してまいりたいと考えております。
1つ目の柱である「被災地の復興完了に向けたきめ細かなサポート」については、被災地において、中長期的に取り組んでいかなければならないソフト面の課題に取り組もうとするものです。県民の皆様の御尽力によって、多くの被災地でハード事業が完了した一方で、被災した方々の心のケアや地域コミュニティの再生、商工業者や農林水産業者の販路・売上げの回復、東京電力福島第一原子力発電所の事故被害への対応、震災の記憶・伝承などには、引き続き、きめ細かなサポートが必要です。被災地の復興完了に向けて、こうした一つひとつの課題に丁寧に対応してまいります。
2つ目の柱である「富県宮城を支える県内産業の持続的な成長促進」については、新しい産業の創出や様々な産業分野でのイノベーションを促進し、付加価値の創出や生産性の向上を図ることで、県内総生産や県民所得の向上を目指すものです。
これまで、「富県宮城」の実現に向けて、自動車産業や高度電子機械産業をはじめとする企業の誘致や、ものづくり産業の振興等に取り組み、力強い経済基盤の構築を進めてまいりました。引き続き、人口減少・超高齢社会においても、県内経済が持続的に成長することができるよう取り組んでまいります。
3つ目の柱である「社会全体で支える宮城の子ども・子育て」については、社会全体で子育て世代を支え子どもを育てていく環境をつくり、社会全体で未来の宮城を担う全ての子どもの健やかな成長を後押しし、子どもたちが安心して学び続けることができる教育環境をつくろうとするものです。
これまでも、子どもを生み育てやすい環境づくりや、子どもの教育環境づくりに取り組んでまいりましたが、少子化対策や出産・子育て環境の改善が必要となっており、子どもの学力向上やいじめ対策、不登校児童生徒への支援といった面でも更なる取組が必要となっております。
このため、このテーマを1本の独立した柱として新たに設定し、従来より一歩踏み込んだ施策に挑戦してまいりたいと考えております。
4つ目の柱である「誰もが安心していきいきと暮らせる地域社会づくり」については、人口減少と少子高齢化が進んでいく状況においても、地域独自の魅力を向上させ、人口の社会減の進行に歯止めをかけることで、持続可能な地域社会の形成を目指すというものです。
引き続き、年齢・性別・国籍等に関わらず多様な主体がいきいきと社会に参画し、文化芸術・スポーツなどを通じて豊かさを享受しながら、健康で、安全安心に暮らすことができる地域づくりに取り組んでまいります。
最後に、5つ目の柱である「強靱で自然と調和した県土づくり」については、私たち一人ひとりが、自然の大切さを理解し、その恵みに感謝しながら自然と調和のとれた社会をつくり育てていき、また、東日本大震災からの復興の過程で得た経験や知見を生かして、災害対応力の更なる向上などにより、強靱な県土づくりを目指すというものです。
引き続き、豊かな生活の基盤となる環境を次世代へ継承していく社会づくりとともに、自助・共助・公助による防災力の強化や世代を超えて安全性と信頼性が確保される社会資本整備を進めてまいります。
5期目に向けて
これまで、私は「富県共創!活力とやすらぎの邦(くに)づくり」を掲げ、世界的な経済危機や大規模災害など数々の苦難に見舞われながらも、一貫してしっかりとした経済基盤の構築と、それによる福祉や教育、環境、社会資本整備などの充実を目指して取り組んでまいりました。
この16年間で私の目指す県政の基盤はできつつありますが、現在直面している新型コロナウイルス感染症拡大という難局を乗り越え、震災からの復興を完遂させなければならないという大きな課題が残されております。そして、県勢の更なる発展に向けて、新ビジョンが掲げる宮城の将来像の実現に全身全霊を傾けていくことこそが、私に課せられた大きな使命であると考えております。
こうしたことから、これまでの歩みを止めることなく更に前進させるために、5期目にチャレンジすることを決心しました。
この政策集は、新ビジョンを踏まえて、特に5期目で私が力を注ごうと考えていることを数値目標とともにお示しをしました。当選をいたしましたら、この政策集の内容を新ビジョンの実施計画に盛り込み、全力で取組を進めてまいります。
県民の皆様におかれましては、引き続き、格別の御理解と御支援を賜りますよう心からお願い申し上げます。
私の政治理念
私は、自衛官時代に政治を志し、松下政経塾で3年間学びました。松下政経塾は、パナソニックの創業者である松下幸之助さんが、次代のリーダーを育てるために創設したものです。松下幸之助さんは、私が心から尊敬している方で、その考え方には特に大きな影響を受けています。
繁栄によって平和と幸福を
松下幸之助さんは、繁栄を通じて初めて真の平和と幸福を実感できると考えていました。確かに、今日よりも明日、そして5年後、10年後に今より良い社会になる、豊かになれるという希望がなければ、人は幸せを実感することはできないでしょう。
私が、2005年の知事就任後に策定した「宮城の将来ビジョン」において、県政運営の理念を「富県共創!活力とやすらぎの邦(くに)づくり」と掲げたのは、松下幸之助さんの考えを自分なりに咀嚼して、まずはしっかりとした経済基盤を築くべきであると考えたことに由来します。
こうした考え方は今も変わっておりません。引き続き、宮城県を豊かにして、雇用を生み出し皆さんの所得を上げ税収を増やして、その富の循環によって理想とする福祉や教育、環境、社会資本整備などを充実させていきたいと考えています。
対立は調和へのプロセス
松下幸之助さんの言葉に、次のようなものがあります。
「万物はすべて対立しつつ調和しています。これは自然の理法であり、万物はこの理法に基づいて生成発展しています。社会の発展もまた対立と調和から生まれます。これは自然の理法に基づく社会の理法であり、これがなければ社会は沈滞し、その進歩は止まります。思想においても学問においても、また人と人の関係においても、すべてが対立しつつ調和するとき、いっさいのものの平等と独立自主が保たれます。それが民主主義の理念であります。」
私は、震災からの復旧・復興で非常に難しい課題に直面した際に、この言葉に救われました。
10年先、20年先、あるいはもっと先を見据えたときに最善の策は何か。意見が分かれ難しい対応を迫られる場合もありますが、全体の利益を考えて必要だと思うことは、臆することなく提案するとともに、県民の皆様の声にしっかりと耳を傾けながら、この理念の実現に向けて歩んでまいります。
県政運営の基本姿勢
「民の力」を最大限に生かす
これまで、県民の皆様や民間企業・団体等の皆様の「民の力」を最大限活用しながら、将来を見据えた創造的な復興などの取組を展開してきました。これからも、震災復興の過程で生まれた「人のつながり」や「新しい価値観」を生かし、多様な主体との連携・協働を大事にしながら、引き続き、「民の力」を最大限に生かす県政を推進してまいります。
衆知を集める
物事を決めるときには周囲の意見をよく聞き、皆の知恵を生かすことが大切です。これからも、現場に足を運び、県民の皆様の懐に飛び込んで御意見を伺ってまいります。また、引き続き、情報公開等を通じて、県政の透明性を確保するとともに、パブリックコメント等を活用して、県民の皆様に広く県政に参画していただきたいと思います。
さらに、地域の課題解決や活性化を図るためには、基礎自治体である市町村とのパートナーシップを構築していくことが重要です。県内の市町村の意見をよく聞き、県が広域的な調整機能を発揮することにより、市町村の規模や体制に応じた支援を行ってまいります。
最小のコストで最大の効果を上げる
経済社会構造が急速に変化する中、限られた職員と財源で適切に行財政運営を行っていくためには、地域特性や将来世代の負担を考慮に入れながら、より効果的・効率的な県政運営に取り組んでいく必要があります。
このため、時代の変化を見据えながら、合理的根拠に基づく政策形成を推進するとともに、行政のデジタル化による県民サービスの向上、公共施設の計画的な更新・長寿命化や最適化、業務の効率化や働き方改革の推進、新たな社会に対応できる人材の育成など、不断の行財政改革に取り組みます。
広域的な視点に立つ
将来にわたり活力ある宮城を創り出すためには、宮城県のみならず、東北全体が連携し、魅力を高めながら、グローバル社会の中で発展していく必要があります。東北各県の産業や観光、防災など様々な分野において、一体となって国内外に発信することによって、商品やサービスの訴求力を高め、より効果的な地域の魅力向上につながることが期待されます。引き続き、東北各県と連携した取組を進めてまいりたいと考えています。
新型コロナウイルス感染症対策
2020年2月に、県内で1例目の新型コロナウイルス感染症罹患者が確認されてから、1年半が経過しました。本県においては、同年1月に「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置して以来、県民の皆様の安全・安心の確保に向けて、東北大学病院、主要病院、医師会、感染症専門家、看護協会などの関係団体、各市町村と連携しながら、「オール宮城」で医療提供体制の維持・確保等に努めてきました。
特に、同年3月の「主要病院長会議」(座長:東北大学病院長)の設置によって、医師会長や患者受入れ病院の病院長など医療機関のトップ同士が、それぞれの事情を共有しながら、確保病床の拡充や医療スタッフの派遣などについて話し合うことができました。
また、同年12月に立ち上げた医療調整本部において、常駐する医師が新規患者の状態に応じて入院すべきか、ホテル等宿泊施設で療養すべきかなどを一元的に判断する体制を構築できたことは、医療体制の逼迫回避に非常に効果的でした。
さらに、今年5月からは、医療調整本部内に「感染制御・業務継続支援チーム」を立ち上げ、介護施設等における感染管理指導や陽性者の健康観察などを通じた業務継続支援を行ってきました。
残念ながら、これまで県全体で100人を超える尊い命が奪われる事態となりましたが、陽性患者数の累計に占める死亡者の割合(致命率)は、全国と比較しても低水準に抑えることができております。
一方、社会経済活動においては、外出自粛や休業要請等に伴う消費の低迷、観光客の減少、公演等の中止・延期などにより、飲食業や宿泊業、文化・スポーツ関係など地域経済をはじめとした幅広い分野が影響を受けており、これまで、様々な生活支援や事業支援に取り組んできましたが、新型コロナウイルス感染症対応の長期化による景気の低迷が懸念されます。
依然として、感染者数は増減を繰り返し、予断を許さない状況が続いておりますが、ワクチン接種の普及によって感染者の重症化は確実に抑え込むことができております。医療を守りながら人々の活動を維持していけるよう、感染防止対策の徹底と医療提供体制の確保に全力で取り組みつつ、社会経済活動の維持・回復との両立を図ってまいります。
1. 感染防止対策の強化と「オール宮城」の医療提供体制の確保
- 受診・相談センター等での相談、各医療機関や地域外来・検査センターでの診療・検査、病院への入院、宿泊療養施設又は自宅での療養、「感染制御・業務継続支援チーム」による介護施設等への支援など、各段階において県民の皆様に安心していただけるよう、「オール宮城」でしっかり対応してまいります。
- 医療提供体制を維持・確保するため、引き続き、感染状況に応じた必要な病床の確保や設備導入支援を行うとともに、軽症者等宿泊療養施設の確保や、要介護者向け宿泊療養施設の確保などを行います。
- 感染拡大防止と一日も早い感染症収束に向けて、各市町村がワクチン接種を円滑に進めることができるよう支援します。
- 患者やその家族、医療従事者などへの差別や偏見をなくすため、「ストップ!コロナ差別」共同宣言に基づき、関係機関と連携しながら、お互いの支え合いや思いやり、感染リスクに直面した厳しい環境で懸命に働く人々への感謝などについて啓発活動を行います。
2. 社会経済活動の維持・回復
- 休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯に対し、資金の貸付を行います。
- 県内の中小企業に勤務する方で、収入が減少するなど、緊急に生活資金を必要とする方を対象に融資を行います。
- 休業や離職等で収入が減少し、住居を失う恐れがある場合、家主等への代理納付で資金を給付し、住居の確保を支援します。また、県税を一時に納付することができない場合、一定の要件に該当する方を対象に納税の猶予を行います。
- 運営に支障が生じているフードバンク活動団体や子ども食堂等を支援し、福祉的なサービスの維持を図ります。
- 消費生活センターにおいて、新型コロナウイルス感染症に伴う様々な消費生活相談に対し助言を行います。
- 売上高が減少した中小・小規模事業者に対して、資金繰りを支援します。
- 農林業経営に影響を受け、今後の経営の維持や安定に向けた資金を必要とする農林業者を支援するため、無利子の短期運転資金を融資します。また、県産農林水産物の新たな販路を確保するため、ECサイトでの販売等を支援します。
- 中小企業、農業、漁業、水産加工業などの事業者向けの各種経営相談窓口を開設し、経営や資金繰りなどについて助言を行います。
- 県内飲食店における感染防止対策を強化し、事業活動の継続を支援するため、認証制度を運用します。また、認証取得に必要な設備の導入や備品の購入を行う飲食店を支援します。
- 宿泊施設における感染防止対策や、接触機会の減少につながる設備の導入・衛生資材の購入等を行う宿泊事業者を支援します。
- 感染防止対策に取り組んでいる飲食店事業者、小売業・サービス業事業者、宿泊施設事業者、観光施設事業者、イベント主催者等を支援するため、一定の基準を満たした場合には、「新型コロナ対策実施中」ポスターを発行します。
- 外出や営業の自粛があった状況においても、運行あるいは運行体制を維持した地域交通事業者等を支援します。
- 活動の自粛を余儀なくされたプロのアーティスト等の活動を支援します。
- 在宅勤務等を可能とするテレワーク環境の構築に取り組む県内中小IT企業に対し、その取組に係る経費の一部を補助します。
- ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、事業再構築により持続可能な経営形態へと業態転換を図る中小企業等を支援します。
- テイクアウトやデリバリーにも活用できるプレミアム付き食事券の発行などにより、飲食店の需要を喚起します。
- 宿泊割キャンペーンなどにより、旅行需要の落ち込みの影響を受けている宿泊事業者の経営を支援します。
復興完了に向けたきめ細かなサポート
これまで
東日本大震災から10年の震災復興期間を経て、生命と財産を守るための高台移転、職住分離、多重防御による災害に強いまちづくり宮城モデルの構築は着実に進展し、被災者の住まいの確保、生業の再建、市街地の再生などのハード面については、多くの被災地で事業が完了しました。
被災市町との緊密な連携の下、復興まちづくりを進めてきた結果、災害公営住宅については、312地区で計画戸数15,823戸全てが完成し、防災集団移転促進事業195地区、被災市街地土地区画整理事業35地区の全てにおいて住宅等の建築が可能となりました。防災集団移転等の対象とならない津波被災地域においても、国の交付金を活用した県独自の住宅再建支援策によって、地域の実情に応じた自力再建が進みました。医療施設、高齢者福祉施設、障害者福祉施設、保育所の復旧も完了しました。
被災事業者の再建については、グループ補助金や県単独補助金、専門家による相談支援事業等により、商工会議所や商工会の被災会員のうち9割を超える事業者が本復旧を果たしております。
津波等で被災した農地約13,000 ha、農業用施設(排水機場)47カ所についても全て復旧が完了し、営農が再開されております。
交通インフラについては、常磐自動車道や三陸沿岸道路が県内全線で開通するとともに、鉄道についても、JR仙石線、石巻線、常磐線といった県内在来線は全線運行を再開し、気仙沼線と大船渡線のBRTによる本格復旧の完成率は9割を超えております。
また、2019年4月には、気仙沼の大島と本土を繋ぐ「気仙沼大島大橋」が供用を開始しました。この開通によって、大島地区住民の日常生活の利便性向上や救急医療活動への支援、観光交流や産業の活性化などが期待されます。
これから
ハード面の復旧・復興が概ね完了した一方で、被災者の心のケアや地域コミュニティの再生、失われた販路の回復、まちの賑わいの創出などのソフト面については、取り組むべき課題が残されており、地域ごとの状況が異なっております。
このため、震災に起因する様々な悩みを抱える方々や、生産・売上げの水準が震災前に回復していない事業者への支援、東京電力福島第一原子力発電所の事故被害への継続的な対応、震災の記憶・教訓の伝承などについて、地域の実情を踏まえながら、中長期的に取り組んでまいります。
1. 生活再建の状況に応じた切れ目のない支援
- 市町村、社会福祉協議会、社会福祉法人、NPO、地域コミュニティ活動団体等と連携し、災害公営住宅等の巡回訪問を通じた見守り活動や日常生活に関する相談支援を行います。
- 災害公営住宅等における自治会等が、地域コミュニティの再生を目的として自発的に行う活動を支援します。
- 心のケアの活動拠点である「みやぎ心のケアセンター」の運営を継続し、心のケアに携わる関係機関と連携しながら、被災者の相談支援や支援活動に関わる人材の育成などを行います。
- 「みやぎ子どもの心のケアハウス」の活動支援や、スクールカウンセラー、心のサポートアドバイザーなどの専門家の活用を通じて、東日本大震災に起因する心の問題から生じる不登校やいじめ等、学校生活に困難を抱えるようになった児童生徒について、個々の状況に応じた心のケアを行います。
- 東日本大震災後の児童生徒の心のケアに対応するため、児童生徒の実状を踏まえた教員の配置を計画的に進めます。
- 震災遺児・孤児の支援のため、生活面においては、養育里親世帯に対する支援や家庭的擁護を推進します。また、経済面においては、東日本大震災みやぎ子ども育英基金奨学金の給付を継続し、引き続き、被災した児童生徒に対する就学支援を行います。
- 被災者の心のケア等を目的とした文化芸術活動や、「リボーンアート・フェスティバル」等を通じた持続可能な地域づくりを支援します。
2. 回復途上にある産業・なりわいの下支え
- 津波により被災し営農を再開した農家や、震災後に新たに設立された大規模施設園芸経営体、大規模土地利用型農業経営体等の安定経営や付加価値向上を継続的に支援するほか、津波により被災した農地のうち、営農を再開した箇所について、農地の生産力回復を支援します。
- 震災の影響で漁獲量が減少しているアワビ・サケの水産資源の回復に向けて、種苗放流から漁獲まで、継続的に支援します。また、円滑な漁獲につながるよう、震災に起因した漁場堆積物の回収等を支援します。
- 沿岸被災地において、土地区画整理事業の進捗に合わせて施設・設備の復旧を行う事業者を支援します。また、被災中小企業に対し、巡回訪問や相談窓口の設置により、事業継続に向けた経営改善等の指導・助言を継続して行います。
- 沿岸被災地の企業集積を進めるため、事業所内保育所等の整備を支援します。
- 食産業の復興に向け、地域団体商標制度や地理的表示(GI)保護制度を活用し、県産ブランド品をはじめとする県産農林水産物の首都圏や海外への積極的なPRを行い、食の多様化に応じた販路開拓・拡大を進めます。
- 被災した観光事業者の再建を支援し、より多くの方々に復興に向けて歩む東北の姿を見ていただけるよう、これまで寄せられた御支援に対する感謝の気持ちと東北の魅力を国内外に発信してまいります。
3. 福島第一原発事故被害への対応
- 市町村や関係団体と連携し、県民一丸となって事故被害対策を推進します。また、原子力災害に起因する損害賠償請求を円滑に進めることができるよう、弁護士による個別無料相談会の開催等を通じて、民間事業者等を支援します。
- 今年4月に国が決定した多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針を受け、宮城県連携会議における関係機関との十分な協議の下、海洋放出以外の処分方法の検討や、国民・国際社会の理解の醸成、処理水の厳格なモニタリング、万全な風評対策、万一に備えた損害賠償スキームの策定などを国に求めていきます。
- 放射性物質汚染廃棄物や除染により発生した除去土壌等の処分について、関係市町村の意向を踏まえながら、国とともに支援を進めます。
- 原子力災害に起因して出荷が制限されているイノシシやニホンジカについて、狩猟による捕獲水準を維持します。また、捕獲した個体の放射性物質を測定し、出荷制限の解除に向けたデータの蓄積を行います。
- 出荷制限を受けている原木しいたけ等の特用林産物の生産再開に向けて、県外産原木の購入を支援するほか、継続的なモニタリング調査に取り組みます。
- 自然環境や農林水産物、工業製品等の放射性物質検査や放射線測定を継続し、ウェブサイト等を通じて、測定結果を迅速に国内外に発信するとともに県民の皆様への正しい知識の普及を図ります。
- 輸入規制の解除や港湾関係者の不安の払拭に向けて、輸出コンテナや県内の港湾の放射線量等を測定し、安全性について周知を図ります。
4. 復興事業のフォローアップと成果・教訓の伝承
- 2021年度以降も対応が必要な震災復興業務を着実に実施していくため、被災市町や県のマンパワーをしっかりと確保し、事業の適切なフォローアップを行います。
- 東日本大震災に関する記録・資料等を収集・保存し、震災に関する記憶の風化防止や防災教育等に役立てるため、インターネット上でデジタルアーカイブシステム「東日本大震災アーカイブ宮城」を運用します。
- 東日本大震災からの復旧・復興の過程で得られた職員等の経験や教訓などを次代に伝承していくため、職員インタビューの記録映像や報告書等を取りまとめ、ポータルサイト「東日本大震災 宮城の震災対応記録」で発信します。
- 東日本大震災で被災した事実を後世に長く広く伝承するため、県内各地への津波浸水表示板や写真モニュメント等の設置、震災遺構の保存、県内外でのシンポジウムやパネル展の開催、防災教育の実施、伝承サポーターの認定制度の運用を総合的に実施します。
- 県内の震災伝承施設等へ誘うゲートウェイの役割を果たすため、石巻南浜津波復興祈念公園内「みやぎ東日本大震災津波伝承館」の展示の管理運営を行います。また、伝承活動に取り組む多様な主体の連携促進に取り組みます。
富県宮城を支える県内産業の持続的な成長促進
これまで
私は、これまで、「富県宮城の実現~県内総生産10兆円への挑戦」を掲げ、自動車関連産業、高度電子機械産業など数多くの製造業の誘致に取り組んできました。その結果、多くの雇用が創出され、本県の産業構造は、サービス産業中心からものづくり産業への転換によって第2次産業の割合が高まり、県内総生産や県民所得も向上しました。
【実績】
- 企業立地件数(2006.1~2019.12) 424件
- 雇用創出数(2009.4~2020.3) 18,677人
- 第2次産業の割合 19.9%(2005) → 24.8%(2019)
- 県内総生産(名目) 8.4兆円(2005) → 9.4兆円(2019)
- 県内総生産(実質) 8.4兆円(2005) → 9.1兆円(2019)
- 県民所得 261.5万円・32位(2005) → 294.4万円・24位(2017)
東日本大震災からの創造的な復興の一環として、2016年に、全国に先駆けて、国管理空港で初めて仙台空港の民営化が実現しました。空港運営会社である仙台国際空港株式会社は、民間企業のノウハウをフルに活用し、国際線の増便やLCCの拠点化などの実績を積み上げてきております。福島、山形方面との二次交通も充実し、今年2月には、名取市・岩沼市との覚書締結により、空港の運用時間24時間化が可能となったところであり、仙台空港の東北におけるグローバルゲートウェイとしての拠点化が進展しています。
東日本大震災で一時大きく減少した観光客については、JRや航空会社と連携したキャンペーン、各種イベントの開催などによって交流人口の拡大やインバウンドの誘致に取り組み、入込数の回復・増加を図りました。
【実績】
- 観光客入込数 5,441万人(2005) → 6,796万人(2019)
- 外国人延べ宿泊者数 15万人泊(2007) → 53万人泊(2019)
農業では、競争力のある農業経営を実現するため、農業経営の法人化、農地の大規模化・集約化を進めました。林業では、みやぎ県産木材の普及促進を図るため、県産木材の生産量拡大と利用拡大に取り組みました。水産業では、経営体の法人化・協業化、施設の共同利用化、漁場の効率的な利用などの取組により、漁業生産額が増加しました。また、漁業の担い手の高齢化や後継者不足等の課題に対応するため、地元漁業従事者の7割以上を含む法人に区画漁業免許を付与する水産業復興特区制度を導入し、新たな水産業の経営モデルの構築に取り組みました。
【実績】
- 農業法人数 266法人(2005) → 698法人(2019)
- 農地利用集積率 47.6%(2013) → 59.2%(2019)
- 県内素材(丸太)生産量 44.0万m²(2005) → 61.0万m²(2019)
- 優良みやぎ材出荷量 1.3万m²(2006) → 3.3万m²(2019)
- 漁業生産額 808億円(2007) → 834億円(2019)
これから
現在、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、県内経済においては、飲食、宿泊、観光をはじめとする様々な分野に大きな影響が出ています。まずは、この問題を克服し、コロナ後を見据えた取組を進めていく必要があります。
また、県内産業は、復興需要の収束による影響を避けられず、人口減少に伴う地域経済の縮小や担い手不足といった課題にも直面しています。
さらには、これからのSociety5.0が目指す姿を見据えAI・IoT等の先進的技術を積極的に取り入れていく必要があります。
そこで、県内総生産や県民所得の増加など「富県宮城の実現」に向けて、新産業の創出や様々な産業分野でのイノベーションを促進し、付加価値の創出や生産性の向上を図るため、主に以下の5つの取組を進めてまいります。
1. ものづくり産業等の発展と新技術・新産業の創出
イノベーション創出による高付加価値構造への転換と企業誘致の推進
- 県内企業の課題解決に寄与するため、AI、IoT等の導入実証を促進し、関連ビジネスの創出や市場形成を図ります。
- セルロースナノファイバー等の次世代素材、3Dプリンタや表面・界面制御技術を活用し、県内企業の商品開発や技術力向上に向けた支援を行います。
- ものづくり産業や情報通信関連企業の生産・開発拠点等の一層の集積に向けて、市町村による産業用地の造成に向けた取組を支援します。また、世界的な半導体不足の動向を視野に入れながら、第二仙台北部中核工業団地を拡張し、企業ニーズに応じた産業用地の提供を可能とすることで、本県に確実な投資を呼び込みます。
- 雇用情勢を見極めながら、高校・大学等と連携して、誘致企業が質の高い多様な人材を確保できるよう支援します。
- 海外から県内への投資を呼び込むため、本県の強みと親和性の高い分野等を中心に東北大学や日本貿易振興機構(ジェトロ)などの関係機関との連携による誘致活動を展開します。
- 企業立地奨励金等を活用し、2024年までに100件以上(累計540件)の企業誘致を推進します。また、企業集積等によって2024年までに約6,000人(累計25,250人)の雇用機会を創出します。
【目標】
- 企業立地件数(累計) 424件(2019) → 540件(2024)
- 雇用創出数(累計) 18,677人(2020) → 25,250人(2024)
研究開発拠点の集積・産学官連携による成長支援
- 最先端の研究開発基盤である次世代放射光施設の利用促進を図ります。また、同施設を中核とした企業等の研究部門の集積を図ります。
- 東北ILC推進協議会の一員として、岩手県をはじめとする東北各県や大学と共に、ILC(国際リニアコライダー)の誘致に取り組みます。
- 産業技術総合センターにEMC試験棟を整備し、企業の電子機器開発を促進します。
- 革新的で競争力のある新製品開発や成長市場分野への参入を支援するため、東北大学等県内の学術研究機関の持つ高度な技術シーズと県内企業ニーズとのマッチングを促進します。
- 製造業(ものづくり産業)や農林水産業など、技術革新や市場拡大が期待される分野において、AI、IoT等の技術の活用による生産性向上や人手不足解消、高度化・専門化に向けた支援を進めます。
- 地域経済分析システム(RESAS)や民間が保有するビッグデータ等を活用して、本県の産業構造を分析し、データに基づく産業振興施策を推進します。
ものづくり産業の成長支援
- 高度電子機械産業及び自動車関連産業などの技術革新の進展や市場拡大が一層期待される分野における技術開発、製品開発への支援を促進します。また、展示商談会の開催等による受注機会の拡大を支援します。
- 優れた技術や製品を有する県内中小企業を、地域の中核となる企業に育成するための支援を行います。
- ユニバーサルデザインタクシーの県内での導入を促進し、県内自動車関連企業の取引拡大等を図ります。
- 東アジア、東南アジアをはじめとした海外市場での県内企業の販路開拓・取引拡大を支援します。
- 地域産業が求めるIT商品の開発・改良を支援します。また、優れた商品を認定し、その商品の販売活動の支援を行います。
- 県内中小IT企業の域外からの市場獲得を後押しするため、首都圏等で開催される展示会へのIT関連企業等の出展支援等を行います。
- 2024年までに、食料品製造業を除いた製造品出荷額等を約4.1兆円にします。
【目標】
- 製造品出荷額等(食料品製造業を除く) 40,800億円(2018) → 41,289億円(2024)
2. 地域資源を活用した観光産業と商業・サービス業の振興
観光資源の創出と受入環境の整備
- 「防災教育」体験プログラムの整備等によって、国内外からの教育旅行の誘致を積極的に行い、長期的に交流人口を確保します。
- 宿泊・観光集客施設における多言語化やフリーWi-Fiの導入等によって外国人観光客の受入環境の整備を支援します。
- DMO(観光地域づくり法人)や市町村等と連携し、松島湾周辺の滞在型コンテンツの造成や宮城オルレをはじめとした各地域の観光資源の磨き上げを行います。
- 産学官の連携により、観光事業者の経営・サービスの改善を進め、宮城の観光産業の生産性と「おもてなし力」の向上を図ります。
- 名勝観光地だけでなく、日常の暮らしに根付いた観光資源の掘り起こしと磨き上げを行い、旅行者のコト消費に対応した体験コンテンツを開発します。また、ニューツーリズムなどの新たな視点からの観光施策を推進します。
- 誰もが安心して訪れやすい観光地づくりを目指し、満足度及び再訪度を向上させるため、観光施設、宿泊施設、公園施設及び交通インフラ施設等のバリアフリー・ストレスフリーの推進と、自然環境や生態系等に配慮した観光地域づくりを行います。
- 農山漁村地域において、農泊推進団体や県内外の企業等が参画する農山漁村交流拡大プラットフォームを設立し、参画者同士の連携による交流コンテンツの開発や人材育成を行います。
- 自転車を活用した観光地域づくりを通じて、サイクルツーリズムの促進や地域活性化を推進するため、自転車通行環境の整備などを行います。
効果的な情報発信と観光産業の高付加価値化
- 景勝地、名所旧跡、伝統文化、食など県内の観光の魅力について、地域の関係機関や関連産業と連携しながら更なる磨き上げを進め、観光産業の付加価値を高めます。
- 東北各県や市町村、一般社団法人東北観光推進機構、民間事業者等と連携し、また、姉妹友好関係等を有する自治体との交流関係を活用することにより、広域的な観光ルートのPRを継続的に行います。
- デジタルマーケティング等の手法により、観光客に対する訴求力の高いテーマを設定し、戦略的な誘客を展開します。
- 「みやぎ観光振興会議」を中心に、戦略的な観光振興や必要な財源の在り方などについて地域の意見を集約し、市町村、観光事業者等と一体となって、地域の特性や強み、持ち味を生かした観光振興に取り組みます。
地域課題やニーズに対応した商業・サービス業の振興
- 生産性・利便性の向上による地域の活性化を目指し、中小企業・小規模事業者や決済事業者と連携したキャッシュレス決済の普及促進を図ります。
- 商店街の持続的な発展を目指して、ビジョン形成や課題解決への取組及び若手リーダーの育成を支援します。
- 地域の商工業者に対して商工会、商工会議所が行う相談・指導業務や販路開拓等への支援を行います。
- 食品・加工品の海外への販路開拓・取引拡大を支援します。
- AI、IoT等の技術を活用してビジネスを発展させる可能性のある創業、第二創業を支援します。
3. 地域の底力となる農林水産業の国内外への展開
農林水産業の持続的発展と食産業の振興
【全般的事項】
- 農林水産業の多様な経営体を確保するため、市町村等の関係機関との連携を強化しながら、就業希望者への支援、後継者対策、優れた担い手の育成、法人化や企業等の参入等を推進します。また、それぞれの現場の状況に応じて、外国人材の受入・拡充のための環境整備を進めます。
- 民間企業、大学等と連携しながら、AI、IoT等の技術を活用した「アグリテック」等を推進し、生産から流通まであらゆる面で経営の効率化を高め、生産性の向上を促進します。
- 商品開発や販路開拓のための初期の取組から経営拡大まで、段階に応じた支援を行い、食産業に携わる1次から3次までの事業者を結びつけることで農林漁業者による6次産業化の拡大を進めます。
【農業に関すること】
- 大規模な法人や、意欲ある家族経営体も含めた多様な農業経営体を育成し、地域の農業の中心となる担い手を確保します。また、女性農業者が活躍できる環境づくりを進めます。
- 農業の担い手に対する農地集積・集約化を進め、大豆、麦、飼料用米、園芸作物等の作付を拡大し、農業所得の向上と競争力の高い水田農業の実現を図ります。
- 実需に応じた県産農作物の安定供給を図るため、気候変動に対応した品種や技術の開発と普及に努めます。
- 「主要農作物種子条例」に基づき、主要農作物(米・麦類・大豆)の種子等の生産体制の充実に努めます。
- 高度環境制御技術を導入した先進的施設園芸や、加工・業務用などの実需者ニーズに対応した大規模露地園芸の拡大、企業参入の促進などにより、園芸の生産拠点を確立します。
- 2024年までに、農業産出額を2,116億円に、園芸産出額を467億円にそれぞれ引き上げます。
【目標】
- 農業産出額 1,939億円(2018) → 2,116億円(2024)
- 園芸産出額 333億円(2018) → 467億円(2024)
【畜産業に関すること】
- 日米貿易協定等による県内畜産への影響を考慮し、畜産の中心的な経営体が行う施設整備や省力化等の取組を支援します。
- 高品質のブランド牛肉「仙台牛」の生産基盤の強化を図り、系統豚「しもふりレッド」等の銘柄豚の生産力強化を図ります。
【水産業に関すること】
- 水産業の経営安定化と収益性の向上に向けて、協業化等を進め、国や民間機関等と連携しながら、新たな加工技術や新素材の活用、生産コスト削減や高付加価値化等の取組を支援します。
- 「養殖振興プラン」に基づき、高品質で安定した生産体制と収益性の高い養殖経営を確立します。また、海水温の上昇など海洋環境の変化に適応した水産物の養殖技術を確立します。
- ICTやIoT等の技術の活用によるスマート水産業を推進することにより、環境への配慮や省力化、収益性の向上を目指します。
- 将来にわたって持続できる沿岸漁業の漁場環境を維持するため、磯焼けによる藻場の衰退への対策やプラスチックなどの海洋ごみによる汚染の低減対策を推進します。
- 2024年の漁業産出額の目標については、789億円に設定します。
【目標】
- 漁業産出額 789億円(2018) → 789億円(2024)
【林業に関すること】
- 林産物の需要拡大に向け、CLT(直交集成板)などの新たな木材製品の普及や、木質バイオマス等の未利用資源の活用促進、新製品などの研究開発を行います。
- 林業事業体の生産性向上や林業の成長産業化に向けて、ICT、UAV(無人航空機)等の技術を活用したスマート林業を推進します。
- 林業・木材産業の持続的発展を図るため、県産木材を利用した住宅や民間施設の木造・木質化・木製品導入を支援します。
- 持続的な木材生産を実現するため、伐採から植栽までの一貫作業システムを活用した低コストの再造林等に対する支援を一層強化します。
- 2024年までに、林業産出額を101億円に引き上げます。
【目標】
- 林業産出額 85億円(2018) → 101億円(2024)
県産農林水産物の販路開拓と適切な生産管理への支援
- 国内外の消費者や実需者のニーズに対応するため、農林漁業から食品産業までの生産、製造・加工、流通、販売の各取組を一体的に支援し、食を基軸とする付加価値の連鎖(バリューチェーン)を構築します。
- 多様化するニーズを的確に反映した商品開発・改良に対する支援、商談機会の提供及び企業と連携した県産農林水産物等の利用促進など、販路開拓・拡大に向けた支援を行います。特に、「食材王国みやぎ」を牽引する農林水産物についてはブランド化を推進します。
- 県産品のブランドを確立するため、地域団体商標制度や地理的表示(GI)保護制度などを活用します。
- 県産農林水産物の新たな販売機会を創出するため、ICTの活用や民間企業等との連携により、消費者・実需者のニーズや購買動向を把握し、効果的な販売活動を促進します。
- 県産農林水産物の海外市場における販路開拓・拡大を促進するため、海外事務所やビジネスアドバイザリーデスク、姉妹友好関係等を有する自治体との交流関係を活用します。また、海外の展示会や商談会に出展する企業をサポートします。
- 海外市場への展開に向けて、GAP(農業生産工程管理)、FSC(森林管理協議会)、MSC(海洋管理協議会)・ASC(水産養殖管理協議会)、HACCP(危害分析重要管理点)等の国内・国際認証の取得等を促進します。
- 仙台牛などの畜産ブランドについて、生産管理の徹底、品質向上に努めます。
- 県が開発した「伊達いわな」について、種苗生産体制を強化するため生産者に対する技術指導を実施します。
食の安全の確保と相互理解に基づく食の安心の確保
- 県民の皆様が健やかな食生活を営むことができるよう、食品の安全性と信頼性の確保に向け、生産者・事業者が安全で安心できる食品を生産し供給するための取組を支援します。また、監視、指導及び検査を実施し、消費者と生産者・事業者との相互理解を促進します。
- 地産地消や食育への意識を醸成するため、県民の皆様が宮城の「食文化」や「食材」への関心を持ち、「食べる」「知る」機会を創出します。
- 県産農林水産物の消費拡大を図るため、料理人の生産現場への招へい、ホテルや飲食店でのフェアの開催、ウェブやSNSを活用した「食材王国みやぎ」の魅力の発信を行います。
- 県産農産物の安全性を確保するため、生産現場等での農薬の適正使用を指導し、農薬販売店や肥料生産業者への立入検査を行います。また、農用地の土壌汚染対策等を確実に実施します。
- 東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う県産農林水産物の風評を払拭するため、放射性物質検査を実施し、検査結果についての情報発信を行います。
- 健康な家畜の生産と安全・安心な畜産物の安定供給を推進するため、家畜伝染性疾病の発生予防とまん延防止に取り組みます。また、飼養衛生管理基準の遵守を指導します。
- 持続的な養殖生産を行うため、海面・内水面における魚類防疫体制を構築します。また、水産用医薬品や養魚飼料の安全性の確保を行います。
- 本県産の二枚貝類の安全性確保と消費拡大を図るため、貝毒の監視体制を構築します。また、ノロウィルス等による食中毒のリスクを減少させる方法について検討を行います。
4. 時代と地域が求める産業人材の育成と活躍できる環境の整備
県内への就職・就業の促進と産業人材の育成
- 企業誘致や県内企業の成長促進、創業支援によって、県内に多様な雇用の受け皿をつくります。
- 県内の学生と企業との交流を通じて、新規学卒者の県内企業への就職を支援します。また、専門家の派遣等を通じて離職防止を図ります。
- 首都圏等の大学生向けの就職支援拠点を通じて、UIJターンによる県内就職を促進します。
- ものづくり産業の人材の育成・確保に向けて、県内企業の認知度・採用力をアップするためのセミナーや、工場見学会を開催します。また、県内の小中高校生向けの動画や広報誌を制作し配布します。
- 地域のIT企業が必要とする高度IT技術者の育成を行います。
- 高等技術専門校等において、生産現場等における「中核的人材」になり得る人材を安定的に供給します。
- 新規就農者を確保し育成するため、農業大学校で人材育成を行います。また、就農希望者に対し、関連情報の提供や栽培技術・経営に関する支援を行い、関係機関と連携しながら、就農前から就農後まで切れ目のない支援を行います。
- 漁業の担い手を確保するため、長期研修事業「みやぎ漁師カレッジ」を実施します。
- 林業の担い手を確保するため、産学官が連携し「みやぎ森林・林業未来創造カレッジ」を開校します。
- 建設産業の担い手を確保するため、建設業団体と協力し、小中学生とその保護者を対象としたイベントや現場見学会を開催します。また、建設業への理解を深めてもらうため、高校生と若手技術者との意見交換会を開催します。
- 地域や産業界と連携・協働し、熟練技能者による実践的な現場実習や、生徒一人ひとりに寄り添った職業教育・進路指導を行います。
- 従来の取組に加え、新規学卒者の県内への定着を促進するため、地域で生き生きと活躍する人材の見える化や様々な業種における就業環境の改善、若い世代への訴求効果の高い情報発信等に向けて、若者のニーズを十分に踏まえた総合的な取組を推進します。
- 外国人材の受け入れを加速させるため、公的セクターが関与する日本語学校の開設や留学生の本県への定着に取り組むとともに、人手不足の解消に向けて技能実習生の特定技能への転換を支援します。また、県立高等技術専門校の新設及び規制緩和による外国人留学生の受入れ環境の整備に向けて取り組みます。
誰もが柔軟に働き続けるための環境の整備
- みやぎ人材活躍応援センターや、みやぎ若年者就職支援センター(みやぎジョブカフェ)を通じて、若年層や就職氷河期世代、子育て層、高齢者等の多様な人材の就職をきめ細かく支援します。
- 外国人材の県内企業への就職を支援するため、企業向け相談窓口の設置やセミナーの開催等を行い、地域での受入環境を整備します。
- 県内企業による障害者の雇用を促進するため、宮城労働局と連携した働きかけや合同就職説明会の開催等を行います。
- 働き方改革に取り組む県内企業を支援するため、普及啓発セミナーの開催やポータルサイトの運営を行います。
キャリアアップに向けた学び直しやリカレント教育の振興
- 様々な産業分野において、AI、IoT等の先端デジタル技術を自社の業務に応用できる人材の育成を行うとともに、IT技術者への職種転換を希望する者等を対象とした育成プログラムを実施します。
- 産学官の人材育成関係機関で構成する「みやぎ産業人材育成プラットフォーム」を通じて、各機関が取り組む多様な人材育成施策の展開を積極的に支援します。
創業や経営力強化の支援
- 小規模事業者の販路開拓・拡大等に対する伴走型支援体制を強化します。また、事業承継の支援を行います。
- 地域企業の新事業や販路開拓に向け、UIJターンや兼業・副業等による多様なプロフェッショナル人材の活用を促進します。
- 県内における創業支援の充実を図るため、先進的かつモデル的な取組を支援し、市町村や創業支援機関と連携した創業支援ネットワークを構築します。
- 農業経営の高度化・多角化を推進するため、法人化セミナーや経営相談会等を開催します。また、中小企業診断士や税理士、司法書士等の専門家を活用した支援や、経営の発展・改善を図るための各種資金等に対する支援を行います。
- 農林水産業における次世代への技術の伝承や経営の円滑な継承を推進するため、ICTやAIを活用したデータ等の「見える化」を進めます。
- 後継者のいない農業経営体については、外部人材も含めた次代の担い手への円滑な経営継承を推進します。
- 漁業経営の安定化を図るため、ニーズに即した制度資金の充実を図り、各種制度資金の活用を推進します。
- 林業の経営者向けセミナーや創業支援などを通じて、意欲と能力のある林業経営体の育成・強化を促進します。
- 地域の守り手である建設産業が持続的に活躍できるよう、第3期みやぎ建設産業振興プランに基づき建設産業振興を積極的に推進します。
5. 時代に対応した宮城・東北の価値を高める産業基盤の整備・活用
生産・物流・交流基盤の機能強化
- 企業誘致を推進するため、宮城が誇る道路・港湾・空港のインフラを最大限PRするとともに、魅力ある立地環境等を整備します。
- 農業の競争力の強化に向けて、効率的かつ安定的な農業経営を確保するため、低コスト農業を実現し高収益作物の導入を進めます。また、先進的技術の活用も見据えた農地整備を推進します。
- 災害や気候変動リスクにも対応可能な水産業を構築するため、閉鎖循環式陸上養殖技術の普及等を推進します。
- 木材生産・流通の合理化を図るため、林業機械や木材加工流通施設の更なる省力化や、高性能化や経営改善に向けた取組を支援します。
産業基盤の整備・有効活用
- 産業拠点の形成及び地域連携を支援するため、高規格道路の計画に合わせたアクセス道路や広域道路ネットワークを整備します。
- 東北に立地する企業の物流コスト削減と環境負荷低減によって国際競争力を強化するため、県内港湾を拠点とする海上輸送へのモーダルシフトを推進します。また、港湾の利便性向上に向けて、航路の誘致活動等を強化します。
- 東北に立地する企業の国際物流を強化するとともに、企業誘致の更なる拡充を図るため、仙台空港への貨物専用機の誘致に取り組みます。また、仙台空港における航空貨物需要を喚起するための体制を整備します。
- 都市近郊農地の有効活用や適正な保全、市街地形成における農業との共存を図るため、都市近郊において、農産物の地元消費を推進し、住民による農作業体験活動などを展開します。
- 高度衛生管理型魚市場を拠点に、背後地の水産加工業者に対する原料の安定供給を促進します。また、新たな視点での漁港施設の有効活用を図ります。
- 林業・木材産業の活性化を図るため、充実した森林資源の活用促進に向けた路網等の基盤整備や、集約化に係る計画策定支援等を行います。
東北のゲートウェイ機能の強化
- 仙台空港の東北におけるゲートウェイ機能を強化し交流人口の拡大に資するため、国内線・国際線の拡充に向けた誘致活動や仙台空港の利用拡大に向けたプロモーションを推進します。また、仙台空港アクセス鉄道などの二次交通の利便性向上に取り組みます。
- 仙台空港の騒音対策や地域振興策に取り組み、空港周辺地域の活性化を図りながら、運用時間延長(24時間化)を継続します。また、仙台空港の24時間化の強みを生かし、ヒト(交流人口)、モノ(物流)の拡大による東北経済の活性化を図ります。
- 港を玄関口とした交流人口の拡大を図るため、クルーズ船の誘致や受入環境の充実に取り組みます。
社会全体で支える宮城の子ども・子育て
これまで
私はこれまで若い世代が将来に希望をもって結婚、出産、子育てができるよう、切れ目のない支援の充実を図ってきました。
特に、待機児童の解消に向けて、市町村と連携して保育所の整備を進め、事業所内保育所の整備については、国庫補助と併せて使える県単独補助金を創設し、子育て世代にとって働きやすい職場環境づくりを推進しました。
さらに、家庭的保育(保育ママ制度)や一時保育などの各種保育サービスの充実に向けて取り組む市町村を支援し、仕事と子育てを両立していくため、育児休業を取りやすく、職場に復帰しやすい環境づくりを進める企業を支援してきました。
2017年度からは、乳幼児医療費助成の対象年齢を引き上げ、全国で初めて、県内一斉に小学校入学時の教材購入費等の助成事業を始めました。みやぎっこ応援ローンなどにより、子育て家庭の経済的負担の軽減にも取り組んできました。
【実績】
- 保育所等入所定員数 25,679人(2005) → 43,841人(2019)
- 乳幼児医療費助成 入院(就学前)・通院(3歳未満) → 入院(就学前)・通院(就学前)(2017~)
教育分野では、国際的な視野から協働的に課題解決に取り組むグローバルリーダーの育成に向けて、東北地方の公立高校で初めて国際バカロレア(IB)ワールドスクールに認定された仙台二華高校において、今年4月から授業が始まりました。
特別支援教育では、特別支援学校の中等部を卒業した生徒が後期中等教育を受けられるようにするため、公募によって民間主導型の整備を進め、今年4月、旧教育研修センター跡地において、軽度の知的障害のある生徒の就労支援や就職に向けたキャリア教育を行う私立の特別支援学校が開校しました。
幼児教育では、幼児期を生涯にわたる人格形成の基礎を築く時期と捉え、「学ぶ土台づくり」を推進してきました。今年4月からは幼児教育センターを設置し、幼児教育の質的向上を図るため、公立私立・施設類型の区別なく、専門・専任の職員が研修会の開催、アドバイザーの派遣、幼児教育に関する研究等に取り組んでいます。
不登校の児童生徒については、スクールソーシャルワーカーや支援員等の配置・派遣、心のケア・いじめ対策・不登校支援等支援チームや児童生徒の心のサポート班の運営により、多様な支援を行ってきました。特に、支援拠点となる「みやぎ子どもの心のケアハウス」については、市町村による体制整備を積極的に支援し、2021年3月末までに、県内33市町村に設置されました。
これから
晩婚化と未婚化の進行も影響し、本県の合計特殊出生率は低下傾向にあり、2020年では1.21と全国平均の1.34を下回る水準となっております。また、待機児童数がゼロになっている市町村もありますが、県全体では待機児童が解消されない状態が継続しております。
児童生徒の教育については、家族形態の変化、地域のつながりの希薄化等により、その取り巻く状況が変化しています。
今後は、これまで以上に、社会全体で子育て世代を支え、子どもを育てていくとともに、未来の宮城を担う全ての子どもの健やかな成長を後押しし、安心して学び続けることができる教育環境をつくります。このため、主に以下の4つの取組を進めてまいります。
さらに、子ども・子育て施策等の安定的な財源を確保し、政策効果の高い新規施策を展開することを目的として、取崩し型の特定目的基金「(仮称)次世代育成・応援基金」を造成し、向こう10年間を想定して集中的に取り組みます。
1. 結婚・出産・子育てを応援する環境の整備
結婚・妊娠・出産の希望を叶えるための支援
- 結婚を希望する若い世代の出会いの機会を拡大するため、AIマッチングシステムの運用により、婚活の利便性や効率性の向上に取り組みます。また、市町村や民間団体と連携し、結婚支援の充実を図ります。
- 将来子どもを産み育てたいと考える人が、望む時期にその希望を叶えることができるよう、若い世代が妊娠・出産・子育てに関する正しい知識を身に付け、自らのライフプランを考える機会の提供に取り組みます。
- 子どもを望む夫婦の経済的・精神的負担を軽減するため、不妊治療医療費助成を継続するとともに、医療保険の適用など国における制度変更の内容を踏まえ、不妊治療に対する支援の拡充について検討します。
妊娠・出産・子育て期の切れ目ない支援
- 結婚前や新婚の方々を応援する一元的な情報ツール(結婚・子育て応援パスポート制度)を創設し、結婚や新生活の応援、子育て支援に関する情報をスマートフォンで簡単に見られるようにします。
- 周産期医療や小児医療体制の整備を促進し、妊産婦や乳幼児等に対する包括的な支援を提供します。
- 子どもを安心して産み育てることができる環境を拡充するため、市町村と連携しながら、デイケアなど産前産後ケアを充実させるとともに、居宅訪問等のサポートを担う人材育成にも努めます。
- 子育て家庭が柔軟で多様な働き方が選択できる社会の実現に向け、仕事と育児や介護等が両立できる環境整備を進めるため、関係機関と連携しながら、県内企業の働き方改革の取組を促進し、2024年度までに男性と女性の育児休業取得率をそれぞれ13.0%、95.0%に引き上げます。
【目標】
- 男性の育児休業取得率 5.0%(2019) → 13.0%(2024)
- 女性の育児休業取得率 77.3%(2019) → 95.0%(2024)
社会全体で取り組む子育て支援体制の充実と気運の醸成
- 子育てに対する不安を軽減し、子育て支援の輪を広げていくため、市町村や関係団体等と連携をしながら、社会全体で子育てを支援する気運の醸成を図ります。
- 子ども連れでも外出しやすい環境づくりを進めるため、民間事業者と連携し、県内各地に置き型授乳室を設置するとともに、子どもの健やかな成長を支える遊び場づくりに向けた取組について検討します。
- 市町村のニーズに応え、放課後児童クラブの整備の支援を行うことなどにより、子ども・子育て支援新制度に基づく施策の充実を図ります。
- 2024年度までの待機児童の早期解消に向けて、保育所等の施設整備を推進し、既存施設の認定こども園への移行を促進します。また、保育士の就職マッチング支援等による保育士確保と、保育士の負担軽減による離職防止を図り、保育士不足の解消に努めます。
【目標】
- 保育所等利用待機児童数 222人(2021) → 0人(2024)
2. 家庭・地域・学校の連携・協働による子どもを支える体制の構築
成育環境の整備や教育機会の均等
- 子どもの居場所づくりなど、子どもの貧困対策に取り組む市町村や民間団体の活動を支援し、情報発信や地域における連携体制の整備を促進します。
- ひとり親家庭の生活の安定と自立に向けた総合的な支援に取り組み、ひとり親家庭が安心して子育てできる環境づくりを推進します。また、子どもに与える影響の大きいDVの予防啓発に努めます。
児童虐待の防止や社会的養育体制の充実
- 児童虐待の未然防止、早期発見、早期対応に向けて、関係機関と連携し、地域全体での見守り体制の充実・強化に努めます。
- 児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、児童相談所の体制強化や職員の専門性向上を図ります。また、市町村など関係機関の対応力が向上するための支援に努めます。
- 社会的養育を必要とする児童が家庭的な環境で健全に成長できるようにするため、児童養護施設等の地域小規模化や高機能化を促します。また、里親制度の普及啓発や里親の確保・育成に努めます。
子どもの基本的生活習慣の定着や家庭教育支援の充実
- ルルブル(「しっかり寝ル・きちんと食べル・よく遊ブで健やかに伸びル」から取った言葉)の趣旨に賛同する組織、企業及び団体等と連携しながら、子どもの基本的生活習慣定着に向けた普及・啓発活動を推進し、社会総がかりで子どもをはぐくむ機運を醸成していく県民運動を展開します。
- 核家族化や地縁的つながりの希薄化といった社会的課題に対応するため、身近な地域で家庭教育に関する相談に応じる子育てサポーター等の支援者の育成及び家庭教育支援チームの設置の普及を促進します。
- 親になる前の世代に対して、家庭を持ち、子を産み、育てるということの意義を考える機会を提供します。
家庭・地域・学校の連携・協働の推進
- 幅広い地域住民の参画によって子どもたちの成長を支えられるようにするため、地域学校協働活動推進員等を中心に、学校を核とした地域づくりを促進します。また、子どもたちの教育活動を応援する「みやぎ教育応援団」の充実を図ります。
- 学校運営に地域の声を積極的に生かし、地域と一体となって特色ある学校づくりを進めるため、コミュニティ・スクールの導入を促進します。
3. 多様で変化する社会に適応し、活躍できる力の育成
豊かな人間性や社会性の育成
- 幼児教育の質的向上を図るため、幼児教育センターを運営し、公立私立・施設類型の区別なく、保幼小合同の研修や幼児教育アドバイザーによる支援等を実施します。
- 将来の生き方を考え、高い志を持った児童生徒を育成するため、児童生徒一人ひとりの実態を踏まえ、保護者や地域と連携し、職業観・勤労観を養います。また、集団や社会の中で果たすべき役割を考えさせるなどして、志教育の一層の充実を図ります。
- 産学官の連携による児童生徒の発達段階に応じたキャリア教育の充実を図るため、地域企業等と連携した職場見学やインターンシップ、児童生徒を対象とした社会人との対話プログラムなどを実施します。
自己実現のための確かな学力の育成
- 確かな学力の育成を図るため、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善を促進し、学習習慣の定着化を図ります。
- 児童生徒の理解を高めるため、一人ひとりの能力や特性に応じた学びや社会とつながる協働的な学びを展開します。
- 学力の全体的な底上げを図るため、小・中学校において、学習の系統性を重視した指導の充実や学力調査を活用したPDCAサイクルの確立に取り組みます。
- 高等学校の学習支援体制の充実を図るため、小・中学校での学習内容の定着が十分でない生徒を対象に、学習サポーターを活用した補習等の支援を行い、義務教育段階の学力の確実な定着を図ります。
- 将来、希望する大学等へ進学できるよう進路指導体制の充実を図るため、地域の進学重点校において、進学支援ネットワークの形成による教員の指導力向上や生徒の学力向上に取り組みます。
社会のグローバル化や情報化に必要な資質・能力の育成
- グローバル化する社会でコミュニケーション能力を発揮し活躍できるようにするため、ICTの活用も図りながら、生徒の英語力の向上に取り組みます。
- 国際的な視野から協働的に課題解決に取り組むグローバルリーダーを育成するため、仙台二華高校において国際バカロレアの教育プログラムを実施し、内容の充実を図ります。
- 児童生徒が情報を主体的に選択し活用する能力を育成するため、学校のICT環境の整備とその活用の充実を図ります。
健康な身体づくりや体力・運動能力の向上
- 食による健康な身体づくりの一環として、学校給食等における宮城の「食文化」や「食材」への関心を高める取組を通じて、地産地消や食育への意識を高めます。
- 朝食を毎日しっかり食べる推進運動を展開するとともに、子どもたちが外遊びやスポーツに関心を持ち、運動習慣が定着するための取組を促進します。
- 児童生徒の体力・運動能力調査による継続的な実態把握に努めるとともに、大学や民間企業と連携しながら、体力・運動能力の向上を図り、2024年度までに小学生、中学生の体力運動能力調査の体力合計点が全国平均よりも0.1ポイント以上上回ることを目指します。
【目標】児童生徒の体力・運動能力調査における体力合計点の全国平均値との乖離
- 小学5年生(男) -0.36ポイント(2019) → +0.1ポイント(2024)
- 小学5年生(女) -0.33ポイント(2019) → +0.1ポイント(2024)
- 中学2年生(男) +0.08ポイント(2019) → +0.1ポイント(2024)
- 中学2年生(男) -1.01ポイント(2019) → +0.1ポイント(2024)
4. 安心して学び続けることができる教育体制の整備
多様な子どもたちを支える魅力や特色ある学校づくり
- 多様な子どもたち一人ひとりの学びを支援するため、ICTの効果的な活用なども図りながら、学習環境の充実に取り組みます。
- 地域から信頼され、子どもたちの学びの意欲が高まるような、魅力や特色ある学校づくりを効果的に進めるため、カリキュラムマネジメントの基礎となる学校評価の充実と活用を図ります。
- 小・中学校において少人数学級や少人数指導に取り組むほか、小学校での教科担任制を推進し、きめ細かな指導の充実を図ります。
- 県立高校に対する地域の期待、本県の産業構造、全県的な学校・学科配置バランス等を踏まえつつ、学校の再編や学科の改編を含め、生徒数の減少や社会状況の変化に対応した魅力ある学校づくりを推進します。
- 県外の高校生と本県の高校生が共に学び、多様な価値観に触れることで互いの視野を広げ、成長を促すこと等を目的として、2023年度からの実施を目途に、モデル校における入学生の全国募集について検討します。
- 様々な背景によって学校生活や学習に困難を抱える生徒が、フレキシブルな学習環境の中で充実した学校生活を送ることができるようにするため、これまでの枠組みにとらわれない新たなタイプの学校(全日制・定時制・通信制の融合)づくりについて検討します。
共生社会の実現に向けた教育の推進
- 特別支援学校において、幼児期からの早期支援を行うとともに、保健・医療・福祉部門との連携体制を強化し、就学から就労まで切れ目のない支援体制を構築します。
- 特別支援学校の児童生徒数の増加による狭隘化に対応するため、2024年度の供用開始を目途に、仙台南部地区特別支援学校を整備します。
- 障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が共に学ぶ教育環境をつくるため、実践事例の蓄積や特別支援学校と小・中学校が交流する居住地校学習を実施します。また、小・中・高等学校の要請に応じ、特別な支援を必要とする児童生徒について、特別支援学校がセンター的機能を発揮し、特別支援教育に関する指導助言を行います。
いじめ対策の総合的な推進と不登校児童生徒への支援の充実
- 医療・保健・福祉・教育など多職種連携を一層促進することにより、多様な相談体制を構築し、子どもたちの悩みへの早期対応を図ります。
- 児童生徒の心のケアや、不登校児童生徒及び休みがちな児童生徒を支援するため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門スタッフを活用した効果的な教育相談体制を構築します。また、スクールロイヤーの活用を促進し、学校の適切な対応を助言するなど、専門家による学校支援の充実を図ります。
- いじめを未然に防止するため、豊かな情操や道徳心など、心の通う人間関係を構築する能力の素地を養います。また、全ての児童生徒が自己有用感や充実感を持ち、楽しく過ごすことのできる学校づくりに取り組みます。
- 全ての児童生徒が安心して学校生活を送ることができる学校づくりを推進します。また、学校内外における不登校支援体制の構築を進め、不登校児童生徒や休みがちな児童生徒に対する多様な教育機会を確保します。
教職員支援体制の充実
- 教職員の経験年数や職能の各段階に応じた体系的かつ効果的な研修等の充実により、授業力、生徒指導力、子ども理解や学校を支える力など、教職員に求められる資質能力の総合的な向上を図ります。
- 教員の研修にICTを活用したeラーニングやライブ配信システム等を導入することにより、既存の集合型の研修と組み合わせ、より質の高い研修環境を整備します。また、研修受講の負担を軽減し、教員が児童生徒と向き合う時間を確保できるよう努めます。
- ICT機器を活用したわかりやすい授業の実現に向け、教員研修の内容の充実を図ります。また、遠隔教育への対応も見据えながら、教員のICT活用指導力の向上を目指します。
- 小・中・高等学校における教員の専門性向上に向け、特別支援教育コーディネーターの養成や特別支援教育の理解促進など研修内容の充実を図ります。
- スクールカウンセラー等の専門職や教員の業務補助を担うスクールサポートスタッフなどの外部人材を活用します。また、運動部活動の指導や引率をすることができる部活動指導員の配置を促進し、教員の業務負担の軽減を図ります。
誰もが安心していきいきと暮らせる地域社会づくり
これまで
私は、これまで、すべての人が生涯を通じてその持てる能力を発揮し、豊かな人生を送ることができるよう、安心して暮らせる地域づくりを進めてきました。
特に、地域医療の分野では、医師不足対策を強化するため、国内では37年ぶりとなる医学部の新設に取り組み、2016年4月に東北医科薬科大学医学部が新設されました。第1期生は、いよいよ来春卒業することになります。県の修学資金を活用した学生は、卒業後2年間の初期研修を終えた後、県が指定する病院で10年間勤務すれば返還を免除するという仕組みをつくりましたので、今後、多くの医師が地域医療に従事するようになります。
さらに、2016年10月には、ドクターヘリの運航を開始しました。県内全域を運航範囲として、基地病院である仙台医療センターと東北大学病院から交代で出動し、原則として毎日運航しています。2020年度の出動回数は300回で、救急患者の救命率の向上や後遺症の軽減などに大きく貢献しています。
高齢者福祉の分野では、特別養護老人ホームの定員数の増加に努め、担い手となる介護人材の確保にも積極的に取り組んできました。
【実績】
- 特別養護老人ホーム入所定員数 6,388人(2005) → 12,464人(2020)
- 要介護認定者1万人当たりの定員数 931人・46位(2005) → 1,391人・21位(2020)
- 介護職員数 20,346人(2007) → 32,870人(2019)
また、メタボリックシンドローム該当者が多いなどの山積した健康課題の解決に向けて、2016年2月に「スマートみやぎ健民会議」を設立し、産官学が連携して県民の皆様の健康と幸せを実現するための県民運動を推進してきました。
誰もが働きやすい環境づくりに向けては、女性が活躍する企業の認証や、先進的な働き方改革を進めている企業の表彰を行ってきました。
これから
これまでに引き続き、少子高齢化と人口減少が進んでいく状況においても、それを乗り越え地域の活力を維持し、誰もが安心していきいきと暮らすことができる地域社会を目指し、主に以下の5つの取組を進めてまいります。
1. 就労や地域活動を通じた多様な主体の社会参画の促進
様々な状況に対応した就業の支援
- 雇用支援拠点を設置し、人手不足や働き方の多様化により生じる求職・求人双方の様々なニーズに丁寧かつきめ細かに対応します。
- 高齢者や障害者の就業支援や職場定着に向けた支援を促進するため、時代のニーズに合わせた職業能力開発や、県内企業等の受入環境の充実を図ります。
- 若年求職者等の就職支援を促進するため、みやぎ若年者就職支援センター(みやぎジョブカフェ)において、関係機関との幅広い連携の下、一人ひとりの状況に応じた就職支援を行います。
働きやすい環境の整備と就労を通じた社会参画の促進
- 市町村、事業者、関係団体と連携し、男女共同参画社会の実現に向けた施策を総合的に推進します。また、経済団体等と連携して女性が活躍しやすい環境の整備を推進します。
- 県内企業における外国人材の受入環境の整備を総合的に支援し、県内企業における外国人材の定着や活躍を促進します。
- 女性が生き生きと主体的に活動できる農村社会を実現するため、女性農業者が農業経営や施策・方針決定過程に参画することによる地位向上や、女性農業者の能力が十分に発揮できる就労部門・就労環境の整備を推進します。
- 障害者の農業分野での社会参加を促進するため、農業と福祉が連携し、それぞれのニーズをマッチングする仕組みを構築します。
- 社会生活上困難を抱える青少年に対する就労支援等を効果的かつ円滑に実施するため、関係機関の連携強化を図ります。
- ひきこもりの支援体制を充実させるため、ひきこもり地域支援センターを中心に、早期発見・早期支援のための普及啓発や支援者のスキルアップ、状態にあわせた社会参加のための居場所づくりを推進します。
地域コミュニティの機能強化と地域活性化の支援
【多様な主体の参画による地域づくり】
- 地域づくりの主体となる組織の形成・機能強化を支援するため、県内組織が互いに研鑽できる場を設け、自立した活動を後押しします。また、中間支援組織との連携を強化し、各地域で住民主体による地域づくりが活発に行われるよう、支援体制づくりを促進します。
- 本県の知名度やイメージの向上を図るため、地域が持つ様々な魅力について、地域や年齢などの属性に応じた媒体を活用し、統一的かつ継続的な情報発信を行います。
- 県内への移住を促進するため、東京都内に移住・定住の相談窓口を設置し、きめ細かな相談体制を整備します。また、首都圏から移住し、県内企業に就職した方への支援を実施します。
- 将来の移住につながる関係人口の増加を図るため、本県に関心のある方に県内外のイベントなどへの参加を促します。
- 多様化・複雑化する地域の課題に対応するため、社会的・公益的な活動に取り組むNPOと多様な主体とのパートナーシップの確立に取り組みます。
- 青少年の社会参画を推進するため、次代を担うリーダーを育成し、県政課題について意見表明する機会を提供します。
【農山漁村地域の活性化】
- 若い世代を中心とした「田園回帰」志向の高まりに対応するため、移住・定住先を探している人たちに選ばれる農山漁村づくりを促進します。
- 集落の地域コミュニティによる課題解決を図るため、CSA(地域支援型農業)の取組や援農ボランティア等の活動を通じて、集落内の人材育成や体制づくりを支援します。
- 農山漁村地域の住民が、主体的に地域課題の解決に向けた取組を実践できるよう、地域コミュニティ組織(地域運営組織等)の設置・運営に向けた環境づくりを支援します。
- 農山漁村地域において、ボランティアやプロボノ(自らの専門知識や技能を生かして社会貢献活動に参加する社会人)等外部人材の支援を活用できるようにするため、「みやぎ農山漁村応援マッチングサイト」を運用します。
外国人が活躍しやすい社会の構築
- 市町村や県国際化協会等との連携の下、多文化共生に関する理念啓発や外国人相談窓口の整備、日本語学習の支援等を行います。
- 外国人と地域との交流により、相互理解を深め、外国人が地域で安心して働き、生活できるよう必要な基盤整備を進めます。
2. 文化芸術・スポーツ活動と生涯学習の振興
文化芸術の振興
- 県民の皆様が主体となって行う文化芸術活動を支援し、その担い手となる人材の育成に努めます。また、地域文化の成り立ちや魅力を伝える啓発活動を実施します。
- 学校教育や社会福祉等と連携し、子どもから大人まで、高齢者・障害者の文化芸術活動の充実を図ります。
- 県民会館とNPOプラザの集約・複合化を進め、あらゆる人が文化芸術を創造・発表・享受できる環境を整備します。また、文化芸術活動と民間非営利活動の融合によって、社会包摂を意識した新たな事業展開を図ります。
- 美術館の現地でのリニューアルを進め、展示事業、創作室等を活用した教育普及活動の充実を図ります。
- シニア美術展の開催を通じて、創作作品を募集・展示し、高齢者の文化活動を推進します。
- 美術・演劇・音楽等の創作活動に取り組む障害者に作品発表の場を提供すること等を通じて、障害者による文化芸術活動の一層の活性化を図ります。
文化芸術の多方面への活用
- 観光、まちづくり、国際交流、教育、福祉、産業等の分野と連携した文化芸術施策の展開により、様々な社会課題を解決し、地域力の向上に努めます。
- 2024年の多賀城創建1300年に向けて、特別史跡多賀城跡附寺跡の環境整備を行います。また、郷土の財産である文化財を良好な形で保存し、後世に引き継ぐとともに、地域資源である文化財が持つ魅力を一層引き出し、地域活性化に向けて活用を図ります。
生涯スポーツの振興
- 高齢者の生きがいと健康づくりを促進するため、全国健康福祉祭(ねんりんピック)へ選手団を派遣し、宮城県シニアスポーツ大会を開催します。
- 障害者スポーツへ参加する機会の充実を図るため、障害のある人もない人も一緒に楽しめるスポーツを普及し、障害の特性に応じて適切な指導ができるスポーツ指導員を養成確保します。
- 幅広い年代の県民の皆様にスポーツ活動の機会を提供するため、地域におけるスポーツイベントを開催します。また、地域住民が主体となって、いつでも気軽にスポーツを楽しめる環境をつくり、スポーツを通じた地域の社会課題解決に向けた取組を支援するため、総合型地域スポーツクラブの創設及び育成を支援し、2024年度までに市町村におけるクラブの育成率を100%とします。
【目標】
- 統合型スポーツクラブの市町村における育成率 77.1%(2020) → 100.0%(2024)
スポーツで活躍できる人材の育成
- スポーツ団体と連携し、優れた素質をもつジュニアアスリートを発掘・育成します。また、ジュニア期からの一貫した強化体制を構築します。
- 次代を担う指導者の人材確保と指導力の向上を図るため、研修会等を開催し、トップアスリートの指導ができる中核指導者の育成を支援します。
様々な機会の学びの活性化
- 高齢者の学習ニーズに応えるための学習の場(宮城いきいき学園)の提供を通して、地域社会の発展に寄与できる高齢者の地域リーダーとなる人材の育成と社会貢献活動への参加を促進します。
- 自然の家において地域活動の受入れや出前講座を積極的に行い、地域力の向上を図ります。
- 県民の皆様一人ひとりが、生涯にわたり学び続けられる環境を整えるため、学習・実践活動等の情報を整理した生涯学習プラットフォームを整備します。
- 学校や社会教育施設、NPO等の関係機関との連携・協力のもと、多様な学習機会の提供のほか、生涯学習を推進する人材の育成を進めます。
3. 生涯を通じた健康づくりと持続可能な医療・介護サービスの提供
心身の健康づくりの支援体制等の強化
- 市町村をはじめとした関係機関と連携し、保健・医療・福祉の包括的な相談支援体制の構築を促進します。
- 地域福祉の担い手を確保するため、宮城県社会福祉協議会等と連携しコミュニティソーシャルワークの視点を持った人材の育成を図ります。
- 保健、医療、介護情報に基づき各地域の健康課題の把握と要因分析を行い、その地域特性を踏まえ、市町村、職域等と連携しながら、子どもや働き盛り世代等を対象に生活習慣改善や食育の取組を促進します。
- 「スマートみやぎ健民会議」を基盤とし、その趣旨に賛同する会員の増加を図りながら、健康づくりを実践しやすい環境整備や健康経営の普及に取り組みます。
- 幼児期からのむし歯予防の推進など、それぞれの年代や地域の実情に応じた歯科保健の充実を図ります。
- 市町村や企業と連携し、定期健診、がん検診等の受診率向上に取り組み、生活習慣病の早期発見、重症化予防を推進します。
- 自死・依存症を含めた心の問題に早期に対応するための普及啓発活動や相談支援体制の整備等に取り組みます。
切れ目のない医療提供体制の整備
- 医師については、引き続き政策的医師配置を進めるとともに、東北医科薬科大学を卒業する宮城枠医師が勤務とキャリア形成の両立ができる仕組みづくりを行います。
- 看護職員については、「県内の就業・定着の促進」、「離職防止」、「復職支援」の三本柱に加え、「領域・地域別偏在の解消」に向けて、各種事業を継続的に実施します。
- 医療機関の新規訪問看護師の雇用に対する財政支援のほか、在宅医療関係機関の連携構築に向けた医師負担軽減策等を支援します。
- 薬剤師については、薬剤師の確保及び地域偏在の解消に向けて、関係機関と連携した人材確保策を継続的に実施します。
- がん診療連携拠点病院の機能強化等によってがん医療の充実を推進するとともに、治療と社会生活の両立を支援します。
- 合併症を患っているがん患者や精神疾患患者を総合的に診療・治療するため、地域医療の課題解決の視点も踏まえ、「県立がんセンター」を「仙台赤十字病院」と統合させて名取市に、「県立精神医療センター」を「東北労災病院」と合築により富谷市に、それぞれ総合病院として開院させることを目指して検討をスタートさせます。
感染症対策の推進
- 感染症の予防とまん延防止のため、必要な医療提供体制の整備を促進します。
- 感染症が発生した場合を見据え、関係機関との連携による迅速かつ的確に対応できる体制の整備を行います。
高齢者を支える体制整備の促進
- 高齢者の権利擁護への理解を深めるため、県民の皆様や市町村職員、介護保険事業所職員等の皆様を対象とした高齢者虐待等に関する講演会・研修会を開催します。
- 高齢者の権利擁護を推進するため、支援の必要な人を発見し支援する体制を整備します。また、成年後見制度の運用に資する支援体制を構築します。
- 誰もが自分らしく安心して暮らせる地域づくりに向け、介護施設等の整備や長寿命化を図ります。また、地域包括ケアシステムの重要性について、地域の実情に沿った普及啓発を行い、市町村、高齢者本人や家族、地域住民、地域の専門職、関係機関等の連携を強化します。
- フレイル(加齢に伴う虚弱な状態)や介護の予防、認知症の方が住み慣れた地域で暮らし続けるための仕組みづくりに取り組みます。
- 介護職員の負担軽減等を図るため、介護ロボット等の導入やICTの活用を進めます。
- 介護人材を確保するため、関係団体等と連携し、介護職の週休三日制などの働き方改革や外国人の受入れを支援します。併せて、介護イメージアップ事業の展開により、介護がより魅力ある仕事となるための環境整備等を進め、介護職員数を2024年度までに40,177人に増やします。
【目標】
- 介護職員数 32,870人(2019) → 40,177人(2024)
4. 障害の有無に関わらず安心して暮らせる社会の実現
障害者の権利擁護や社会的障壁の除去
- 今年度施行した「障害を理由とする差別を解消し障害のある人もない人も共生する社会づくり条例」及び「手話言語条例」に基づき、普及啓発と情報保障を進めるほか、事業者の合理的配慮につながる環境整備を支援します。
- 障害者にとって分かりやすい、ユニバーサルデザインに配慮した県政情報の提供に努めます。
- 障害を理由とする差別や虐待に関する相談に対応するため、「宮城県障害者権利擁護センター」を設置・運営します。
- 手話通訳者や要約筆記者、点訳・音訳奉仕員の計画的な養成や資質の向上を図ります。
- 「障害のある人もない人も共生する社会」の実現に向けて、スマートフォンのアプリケーションソフトを活用した「手助けを求める人」と「手助けできる人」を繋ぐ取組を進めます。
ユニバーサルデザインのまちづくりの推進
- 「だれもが住みよい福祉のまちづくり条例」等の基準により、市町村や事業者の方々の理解と協力を得ながら、障害者や高齢者が円滑に移動できる施設の整備を推進します。
- 障害者等用駐車区画等の円滑な利用のため、公共施設や商業施設において、「宮城県ゆずりあい駐車場利用制度」を運用します。
障害者や難病患者等を支える体制整備の促進
- 障害者が地域において自立した生活を送ることができるようにするため、グループホームや地域生活支援拠点等の整備を進めます。引き続き、県全域のセーフティネットの役割を担う「宮城県船形の郷」の建て替えを進めます。
- BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング:業務工程の一部を切り出し、請負業務として外部に委託すること)を活用した共同受注拡大のビジネスモデルを全国に先駆けて構築し、障害者の就労機会の拡大と工賃水準の引き上げを促進します。また、県での優先調達を積極的に進めます。
- 重度の障害者の医療費自己負担分を市町村と共に助成する等、障害者が地域で安定した生活を営むための支援に取り組みます。
- 保健所職員が在宅難病患者を訪問し、療養生活に関する指導・助言を行います。また、難病相談支援センターによる相談・患者交流活動・研修会開催等により、患者とその家族の支援を行います。
- 難病の早期診断と診断後の適切な医療提供体制の整備に取り組みます。また、筋萎縮性側索硬化症(ALS)等の重症神経難病患者が、在宅で安心して療養生活が送れるよう、介護人の派遣による家族の支援を行います。
- アレルギー疾患に関する普及啓発や医療従事者、教職員等を対象とした研修を行います。
- 発達障害(疑いを含む)のある人やその家族が乳幼児期から成人期までの各ライフステージに応じて、身近な地域で支援が受けられるよう、発達障害者支援センターを中心に支援体制の充実・強化を図ります。
- 医療的ケアを必要とする障害児者が安心して生活できる環境を整備するため、医療型短期入所事業所の更なる確保や通所事業所における受入促進を図ります。また、医療的ケア児等コーディネーターを中心に、身近な地域での支援体制の整備を促進します。
- 特別支援学校において、医療的ケアが必要な児童生徒が安心して学校生活が送れるよう看護師を配置するなど、校内の医療的ケア実施体制を整備します。
5. 暮らし続けられる安全安心な地域の形成
地域交通の維持や地域に適した柔軟な移動手段の普及支援
- 生活圏域での移動を支えるため、広域的な地域交通の運行を行うバス事業者等に対する財政支援を行い、路線を維持・確保します。
- 交通空白地域や末端部の交通手段確保策として、市町村と連携し、民間の力を生かした取組を推進します。
地域経済の循環や商店街の活性化等によるまちづくりの支援
- 地域のニーズに適合し、次世代を見据えた持続的で発展的な商店街の構築を図るため、商店街の将来のビジョンの形成やにぎわい創出などの活性化を支援します。
- 都市機能や居住機能を都市の中心部に誘導し再整備を図るなど、都市の集約化・コンパクト化を図ります。また、安全で快適な建築ストックの形成を支援し、健全なまちづくり・市街地形成や都市基盤の強化を図ります。
- 地域資源を活用した小規模・分散型のビジネスを創出するため、地域運営組織等に対して、地域資源の掘り起こし・保全・磨き・利活用、販売戦略の整備、情報発信等のノウハウを提供し、伴走型の実践支援を行います。
- 特徴のある農林水産物や地域資源が持つ魅力を発見・発信し、特色のある「儲かる」地域ビジネスを創出していきます。
- 地域内や外部から得た収入の域外流出を最小限にとどめ、なりわいの拡充や地域課題解決に向けた取組に再投資できる仕組みづくりを促進します。
- 生産現場における異業種間連携の調整や、持続的な地域活性化のために、地域内農業と地域内外の他産業・人材をコーディネートする窓口の設置やコーディネーターの育成・確保を行います。
地域の安全安心の確保
- 誰もが安心して暮らせる犯罪のないまちを実現するため、県民、事業者等の皆様と連携・協力して、県民運動を推進します。
- 「防犯カメラの設置及び運用に関するガイドライン」及び「犯罪のないみやぎ安全・安心まちづくり各種防犯指針」の普及啓発など、安全・安心なまちづくりの促進に取り組みます。また、「性暴力被害相談支援センター宮城」の運営など、被害者一人一人の状況に応じた適切な支援を行います。
- 消費者被害の未然防止を図るため、地域の見守り活動や、出前講座等による啓発を行います。また、来年4月の成年年齢引下げを見据え、学校教育期を中心とした若年層への消費者教育の充実強化を図ります。
- 特殊詐欺被害から県民の皆様を守るための広報啓発活動を推進します。また、金融機関、コンビニエンスストア等の関係機関、地域住民等と連携した被害防止対策を推進します。
- 歩行者・自転車の安全確保や交通の円滑化を図るため、歩道整備や交差点改良を行います。
- 小学校スクールゾーン内のブロック塀等について、市町村と連携し、除却や改修等が必要なブロック塀等の所有者に対する改善要請や、助成制度の周知を行います。
- 保育所等の安全対策のため、それらの施設周辺におけるキッズ・ゾーンの設定を促進します。
強靱で自然と調和した県土づくり
これまで
私は、これまで、人と自然が調和した美しく安全な県土づくりに向けて、経済・社会の発展と環境保全の両立、豊かな自然環境等の保全、大規模災害による被害を最小限にする県土づくり等を進めてきました。
経済や社会の発展と両立する環境負荷の少ない持続可能な地域社会の構築に向けては、地球温暖化対策等の観点から、再生可能エネルギーの導入に取り組んできました。特に、2014年に、国が水素社会の実現に向けたロードマップを発表したことを踏まえ、東北で初めてFCV(燃料電池自動車)を導入しました。2017年3月には四大都市圏以外で初めて本格的な商用水素ステーションがオープンし、今年8月には、2基目が供用を開始しました。
豊かな自然環境等の保全に向けては、都市近郊の緑地を保全し、県内の貴重な植物や野生動物の生息地となっている良好な自然環境を積極的に保全していくため、2017年に、大衡村の昭和万葉の森(約22ha)と利府町、大郷町にまたがる番ヶ森山周辺地域(約800ha)を新たに緑地環境保全地域に指定しました。
大規模災害への備えについては、東日本大震災の教訓を踏まえ、高台移転、職住分離、多重防御による大津波対策を推進し、防潮堤等の災害復旧・復興については、農地海岸、漁港海岸、建設海岸、港湾海岸等の総延長約233kmのうち、88%にあたる約205kmが完成しました(2021年7月末現在)。引き続き、残りの区間の早期完成に向けて取り組んでいきます。
また、災害時に迅速かつ的確に災害応急活動を実施するための広域的な防災体制の整備を進めました。2016年に、傷病者の域外搬送拠点や支援部隊の一時集結場所、物資輸送の中継拠点の機能を担う広域防災拠点の計画地として仙台市宮城野区に用地を取得し、県内7圏域8ヵ所の圏域防災拠点や市町村の地域防災拠点との連携体制を構築しながら、大規模災害に効果的に対応できる体制づくりを進めているところです。
さらに、水道用水供給事業、工業用水道事業及び流域下水道事業について、今後の人口減少等に伴い給水収益が減少する一方で、送水管等の更新需要が増大するなど、厳しさを増す経営環境においても持続可能な水道経営を確立するため、「みやぎ型管理運営方式」の構築に向けた検討を進めてきました。今年4月には、事業者選定手続きにおける優先交渉権者と基本協定を締結し、県議会6月定例会において関連議案が可決成立しました。今後、来年4月からの事業開始に向けて、更に準備を進めてまいります。
これから
東日本大震災の教訓を踏まえ、災害に強い県土づくりに向けて整備した社会インフラについては、豊かな自然環境とともに、レジリエントな社会を支える貴重な資産として有効に活用し維持しながら、しっかりと後世に引き継いでいく必要があります。
また、「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ」の脱炭素社会の構築に向けて、地球温暖化対策をはじめとする環境への配慮と地域経済の発展の両立を図り、将来世代への責務を果たすことが必要です。
こうした観点から、私たち一人ひとりが、自然の大切さを理解し、その恵みに感謝しながら自然と調和のとれた社会をつくり育てていき、また、東日本大震災からの復興の過程で得た経験や知見を生かし、災害対応力の更なる向上などにより、強靱な県土づくりを目指します。このため、主に以下の4つの取組を進めてまいります。
1. 環境負荷の少ない地域経済システム・生活スタイルの確立
環境課題の理解と環境配慮行動の促進
- 低炭素型ライフスタイルへの転換を図るため、県民総ぐるみの地球温暖化対策運動を進めます。
- 一人ひとりが地球温暖化や気候変動の影響などを理解し解決する能力を身につけるため、将来世代を見据えた環境教育や教育人材の育成を促進します。
- 環境配慮行動の実践を促進するため、普及啓発の場の設定や教育人材の派遣を行います。また、SNS等を活用した普及啓発やアプリケーションソフトによる環境配慮行動の「見える化」を推進します。
- 気候変動リスク等に対応した持続可能なビジネスモデルの構築を促進するため、ESG経営の重要性について理解を深める取組を進めます。
省エネ行動、再生可能エネルギー等の利用促進
- 将来的な脱炭素社会の実現に向けて、事業者による省エネルギー化や自立分散型の再生可能エネルギーへの転換などを促進します。
- 地域資源を活用した多様な再生可能エネルギーの導入や、再生可能エネルギーの地域における有効活用を推進します。また、再生可能エネルギーで生み出された二酸化炭素削減効果を「見える化」します。
- 水素社会の構築に向けて、県内での水素エネルギーの普及のため、県内市町村・大学・企業等と連携し、国が進めるプロジェクトや実証事業などを積極的に活用します。また、水素エネルギーの更なる利活用機会を拡大するため、先駆的な取組を横展開します。
- 二酸化炭素排出量の一層の削減と災害時における電源等の確保に寄与するため、県内の住宅・建築物への太陽光発電設備の導入と省エネ化を促進します。
- 園芸施設において生産物当たりの化石燃料の使用削減を図ります。また、園芸用の廃プラスチック類の適正な回収や生分解性資材の利用拡大等を推進します。
- 農村地域の未利用エネルギーの利活用促進と土地改良区等の維持管理費低減を図るため、農業水利施設等を生かした再生可能エネルギーの導入を推進します。
- 林地残材をはじめとする木質バイオマスの利活用と安定供給を推進するため、活用施設の設置や供給体制の構築を支援します。
- 未利用資源の活用を推進するため、下水道処理施設で発生する消化ガスによる発電に取り組みます。
- 住宅や民間施設の県産材による木造・木質化を支援し、新たな木材製品の普及を促進します。
- パリ協定に基づく森林による温室効果ガスの吸収目標を達成するため、再造林や間伐等の森林整備を推進します。
環境関連産業の振興や環境に配慮した技術・プロセスの導入の促進
- 環境・エネルギー産業分野において、県内の研究機関や企業等の高度な研究・技術蓄積を活用したものづくりや、製品・サービスの研究開発等の取組を促進します。
- 各産業における資源生産性の向上を図るため、環境配慮設計の導入や持続可能な調達、資源のリデュース、再生資材の利用拡大などに取り組む事業者を支援します。
- 環境と調和のとれた農業生産を推進するため、「みやぎの環境にやさしい農産物・認証表示制度」を運用します。また、農業生産に由来する環境負荷の低減に取り組む生産者相互の交流・技術研鑽を支援します。
- 公共用水域の水質を保全するため、上下水道の水質管理を徹底し、水質異常時に対応する施設の整備や下水放流水の水質基準の適合に取り組みます。
- 食品ロスを削減し、海洋プラスチック等による海洋汚染を防止するため、過剰包装の見直しや、プラスチック容器からガラス・紙包装への切り替え、減容・減量・軽量化などの取組を支援します。
- 脱炭素社会の実現のため、地産地消によるフードマイレージの削減に取り組みます。
廃棄物の削減や有効活用の推進
- 廃棄物の最終処分量を削減するため、事業者による廃棄物の発生抑制やリサイクル等に必要な施設整備・技術開発等を支援します。また、県民の皆様や事業者、市町村等、様々な主体に対して、廃棄物の3Rに関する啓発活動を行います。
廃棄物の適正処理の推進
- 廃棄物処理への信頼性や透明性を高めるため、廃棄物の適正処理についての普及啓発や処理実績の情報公開などにより、事業者による健全な処理システムの構築に取り組みます。
- 県内の産業廃棄物の処理が円滑に行われるよう、最終処分場機能の安定確保に努めるとともに、公共関与の最終処分場の整備に向けて、有力候補地の住民の皆様と丁寧な協議を重ねながら、取り組んでいきます。
- 村田町竹の内地区産業廃棄物最終処分場については、引き続き、各種環境調査(モニタリング)や処分場の維持管理を適正に行い、処分場周辺地域の生活環境の保全を図ります。
- 廃棄物の不法投棄等の根絶に向けて、様々な広報媒体の活用や関係者の協働による普及啓発を推進します。また、産業廃棄物適正処理監視指導員や様々なツールによって監視指導を強化し、違法行為に対する厳正な処分を行います。
2. 豊かな自然と共生・調和する社会の構築
自然環境及び在来野生生物の保全や保護の推進
【自然環境や生態系の保全】
- 上流から下流まで流域全体が協力・連携し、各流域の特性を生かした健全な水循環保全に関する施策を推進します。また、水環境の保全に取り組む民間団体等を支援します。
- 閉鎖性水域の水質改善を図るため、市町村における下水道整備を支援します。
- 自然公園や県自然環境保全地域等の優れた自然環境を保全するため、適切な許認可等や指導助言を行います。
- みどり豊かな県土を創造するため、緑化運動や植樹事業等を支援します。また、県民の森等、自然環境との交流の場の保全に取り組みます。
- 市町村が策定した「田園環境整備マスタープラン」を踏まえ、水生生物及び動植物等の生息環境の保全に配慮した農業農村整備事業を展開します。
- 「環境アドバイザー」として委嘱した専門家・学識者の助言・指導を得ながら、自然環境に配慮した河川・海岸堤防工事を進めます。
- 間伐などによって、県土の保全、良好な環境の維持・増進及び森林の多面的機能の発揮を図ります。また、花粉症に対応するため、花粉症対策苗木を活用した植替えを促進します。
- 特別名勝「松島」地域等において、重要な景観を保全するため、松くい虫被害の拡散を防止し、松林の再生を図ります。また、里山林を保全するため、ナラ枯れについても適切な防除に努めます。
- 森林経営管理制度の推進により、手入れの不十分な森林の経営管理を行い、生態系の基盤となる森林の公益的機能の維持・増進を図ります。
- 森林認証の取得や認証材使用製品の開発・普及等を支援します。
【野生鳥獣の適正な保護管理】
- 県内の希少野生動植物の生息状況の変化について調査を実施し、鳥獣保護管理事業計画等に基づいて、野生鳥獣の保護管理を適正に行います。
- 野生鳥獣による農作物等被害を防止するため、侵入防止柵の整備や研修会、地域の協議会による捕獲活動を支援します。
- カワウによる内水面漁業への被害について、対策手法の確立や被害量の推定等を行い、広域的な対策を検討します。
自然環境に関する情報発信・学びの環境整備
- 宮城県生物多様性地域戦略に基づき、生物多様性フォーラムの開催や生物多様性マップの配布など、自然環境や生物多様性に関する情報発信に取り組みます。
- 県内の森林・林業・自然環境の案内人等を育成するため、「森林インストラクター」や「みやぎ自然環境サポーター」の養成講座を開催します。
- 農山漁村地域での宿泊体験や農山漁村体験を通した子どもの育成などを図るため、これらの体験を受け入れる団体等を支援します。
- 農業・農村の持つ魅力を伝え、地域環境保全等に対する意識の醸成を図るため、地域や学校教育との連携・協働による農村環境保全活動を支援します。
- 森づくり活動に取り組む個人、団体等の多様な主体と連携しながら、県民参加の森林づくりを推進します。
- 木を使う文化への理解を深めるため、子どもから大人まで広く県民の皆様に対する「木育」の取組や、教育機関と連携した森林・林業教育の取組を推進します。
- 県有林を団体・企業等に貸与し、多様な主体による森づくり活動を通じた人材育成、環境学習等に活用します。
自然環境や地域資源の保全活動の支援
- 自然環境や良好な農村景観の保全、農山漁村等の有する多面的機能の維持・発揮を図るため、地域住民による共同活動を支援します。
- 世界農業遺産「大崎耕土」の巧みな水管理施設などの地域資源の利活用を基本とする地域住民活動の多様な展開を促進します。
- 地域の団体等が自主的に展開する郷土の森づくりや緑化活動に対して支援します。
- 海岸防災林の育林を継続的に行い、海岸防災林を活用した地域の賑わいを取り戻す活動を行う団体等を支援します。
都市と農山漁村の交流促進・景観保全や地域の魅力の発信
- 中山間地域の景観形成や耕作放棄地の防止など、自然環境の維持形成につなげるため、小規模な農業者の作業性向上等を図る取組を支援します。
- 農山漁村地域の活性化を図るため、地域に暮らし地域を支える人材の育成を支援するとともに、都市部などに居住し地域と関係を持つ関係人口の創出・拡大を図ります。また、交流人口を増やすための受入体制の整備を支援します。
- 棚田等の良好な景観を保全するため、農業生産活動の継続を支援するとともに、地域協議会等による活動や外部人材を巻き込んだ活動を支援します。
- にぎわいのある景観まちづくりの機運醸成や推進に向け、市町村職員と地域住民が協働した取組を支援します。
3. 大規模化・多様化する災害への対策の強化
地域防災体制の活性化
- 地域を支える小規模事業者、商店街のBCP(事業継続計画)作成を支援します。また、町内会等の自治組織と一体となった防災体制の活性化を図ります。
- 地域自主防災の担い手となる女性や高校生を防災リーダーとして育成するとともに防災指導員に認定します。
県民の防災意識の向上
- 浸水想定区域や土砂災害警戒区域内に立地する要配慮者利用施設(社会福祉施設、学校、医療機関等)の管理者等による避難確保計画の作成や避難訓練の実施を支援します。
- 児童生徒の自助力を高める避難訓練が持続的に行われるよう、大学等の研究機関と連携しながら、各学校を支援します。
- 大規模な自然災害が発生した場合でも、住宅等の再建に要する費用負担を軽減し、早期の再建が可能となるよう、県民の皆様による水災・地震保険等の加入を促進し、「自助」の取組を支援します。
防災教育の充実や地域と連携した学校防災体制の構築
- 社会教育施設において、震災遺構の見学や語り部による伝承及び体験的な防災学習を継続的に実施します。
- 被災地訪問型の研修などにより、教職員の学校防災や防災教育に関する資質能力の向上を図ります。
- 学校への防災主任等の配置や地域全体での学校安全推進体制構築への支援等により、学校・家庭・地域が一体となった防災・安全体制の整備を進めます。
- 防災教育副読本の活用や震災遺構を活用した防災学習を推進し、児童生徒の防災意識の定着を図ります。
大規模化・多様化する災害に備えた防災体制の充実
【防災・減災機能の発揮や施設の耐震化等】
- 広範囲にまたがる大規模災害時に、効果的に対応するための中核的機能を担う広域防災拠点の整備を推進するとともに、圏域防災拠点や市町村の地域防災拠点との連携体制を構築します。
- 被災後の漁業活動の早期再開や風浪対策などを目的とした漁港施設の機能強化対策を推進します。
- 山地に起因する災害から県民の皆様の生命・財産が守られ、安全で安心できる生活を送れるよう、山地災害危険地区の危険度が高い箇所を優先した治山対策を計画的に進めます。
- 海岸防災林の防災機能を発揮するため、適切な保育・管理を行います。
- 道路利用者の安全性を確保するため、落石等の危険箇所について災害防除事業を行います。
- 災害時の円滑な避難を確保するために必要な避難道路等の整備に努めるとともに、橋梁耐震化等を進め道路の安全性を高めます。また、土砂災害等の危険性が高く、広域迂回などの社会的影響が大きい箇所の道路改築や道路拡幅などの対策を行います。
- 近年の気候変動により頻発化・激甚化する水災害に対応するため、河川整備などのハード整備とソフト対策を一体的に推進します。また、流域が一体となって治水対策を行う「流域治水」の取組を推進します。特に、堤防機能の強化や内水対策の加速化を図り、河道断面の確保やダム貯水量の活用などを推進します。あわせて、湛水防除排水機場の改修、農業用利水ダムや田んぼダムの活用等も進めます。
- 砂防施設、急傾斜地崩壊防止施設、地すべり防止施設を整備します。
- 仙台塩釜港の大規模災害時における物流拠点機能の確保を図るため、国と連携し、岸壁の耐震化など港湾整備に取り組みます。
- 仙台空港の大規模災害時における輸送機能及び拠点機能の確保を図るため、国と連携して滑走路の耐震化等、空港整備に取り組みます。
- 市町村における下水道施設の改築更新や耐震化、耐水化等を推進し、防災・減災機能の向上を図ります。
- 広域水道及び工業用水道の水管橋などの耐震化や仙南・仙塩広域水道のバックアップ施設の整備のほか、流域下水道施設の改築・更新、管路の耐震化及び大雨時の溢水(不明水)対策等を推進します。
【災害情報の提供体制や関係機関との連携の充実】
- これまでの第1次~第4次地震被害想定調査に引き続き、東日本大震災後の第5次地震被害想定調査を実施します。
- 農村地域の防災力向上に向けた総合的な防災・減災対策を推進するため、計画的な事業計画の調査・策定を行います。
- 防災重点ため池等について、耐震化等の補強対策を実施するとともに、地域における災害リスクの共有のため、ハザードマップの作成及び緊急連絡体制の整備等を推進します。
- 水害リスク情報の空白地を解消し、地域住民の避難行動や被害軽減行動を促すため、河川流域情報システムの拡充、危機管理型水位計やウェブカメラの設置、洪水浸水想定区域図の作成などにより積極的な発信を行います。また、市町村や地域のニーズに応じて、水位計や河川監視カメラを増設し、リアルな河川情報を提供します。
- 予防減災対策として土砂災害警戒区域等の指定を推進するとともに、砂防総合情報システムなどの情報提供の機能拡充を進めます。
- 地震による建築物の倒壊等から県民の皆様の生命と財産を守るため、木造住宅の耐震診断、耐震改修補助事業を実施する市町村を支援します。
- 民間大規模特定建築物の耐震補強設計・耐震改修補助事業や、指定避難所の耐震診断事業を実施する市町村を支援します。
- 地震によるブロック塀等の倒壊被害を未然に防止するため、県の補助制度により小学校スクールゾーン内ブロック塀除去等の取組を進めます。
- 県のホームページで公表している「大規模盛土造成地マップ」について、市町村と連携して情報の更新を行いながら、県民の皆様への周知を進めます。
4. 生活を支える社会資本の整備、維持・管理体制の充実
社会資本の整備と長寿命化対策の推進
- 道路、河川、海岸、公園などの社会資本整備を着実に推進します。また、身近な社会資本の長寿命化に向け、公共土木施設・建築物の適正かつ効率的・持続的な維持管理を推進します。
- 「宮城県県営住宅ストック総合活用計画」に基づき、既存ストックの適切な管理や改善等による長期的活用を図ります。
- 港湾施設、漁港施設及び海岸保全施設について、機能診断調査の結果に基づき、予防保全型の長寿命化対策を推進します。
- 水道用水供給事業、工業用水道事業及び流域下水道事業を一体とし民間の力を最大限活用してコスト削減を図る宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)を推進します。
- 市町村等の水道事業体の経営基盤の強化に向けて、水道事業体同士の連携促進のための体制整備や計画づくりを行います。
- 既存の農業水利施設の有効活用や長寿命化を図るため、適時適切な施設の機能診断とその診断に基づく対策工事が計画的に実施できるよう、ストックマネジメントを推進します。
- 農業集落排水施設の長寿命化、集落間道路の整備等の生活環境整備への取組を支援します。
企業や地域社会と協働した公共施設の管理の促進
- 道路、河川、海岸、公園などの公共空間について、企業や地域住民と行政とが役割分担の下で継続的な清掃・美化や管理活動を行うアドプトプログラムを推進します。また、地域住民と協働した事業やネーミングライツに取り組みます。
- 農業水利施設などの多面的機能の維持・発揮を図るため、地域住民による共同活動を支援し、地域資源の適切な保全管理を推進します。
※上記のほか、新・宮城の将来ビジョン実施計画に記載された取組を実施します。
ふるさと宮城の再生と発展のために
これからも全力で頑張ります!