村井政策集2021

重点政策をわかりやすく説明します。

【宮城県知事選挙2021】
村井よしひろ~少子化対策について~

県政運営の基本姿勢

村井政策集2021

復興完遂 そして未来へ

富県躍進!“PROGRESS Miyagi”

~ 多様な主体との連携による活力ある宮城をめざして ~

政策集の目次

県民の皆様へ

これまでの16年

私が2005年(平成17年)に県政をお預かりしてから、まもなく16年になろうとしております。自衛官時代に学んだ「遠方目標」という考え方に着想を得て、知事就任後1年かけて策定した宮城県の遠方目標、「宮城の将来ビジョン」が、震災復興計画や地方創生総合戦略と共に昨年度末で終期を迎えました。

これまで、私は、宮城の将来ビジョンにおいて「富県共創!活力とやすらぎの邦(くに)づくり」を県政運営の理念として掲げ、すべての県民の皆様が「生まれてよかった、育ってよかった、住んでよかった」と思える宮城県にするため、まずはしっかりとした経済基盤を築き、そして創出された富の循環によって、福祉や教育、環境、社会資本整備などの取組を充実させることができるよう取り組んでまいりました。

また、東日本大震災後は、震災からの復旧・復興を最優先に、復旧にとどまらない抜本的な再構築や現代社会の課題を解決する先進的な地域づくりに全力で取り組んでまいりました。おかげさまで、最優先で進めてきた被災された方々の住まいの確保、生業の再建、市街地の再生などハード面の復旧・復興は概ね完了しましたし、創造的な復興のために、先を見据えて進めてきた新しい取組も成果を上げてきております。

これからの10年

今年4月からは、「新・宮城の将来ビジョン」がスタートしました。新ビジョンは、2030年(令和12年)を目標年度として、次のように、私たちが目指すべき10年後の宮城県の姿を描いております。

「私たちが目指す10年後の姿は、震災からの復興を成し遂げ、民の力を最大限に生かした多様な主体の連携により、これまで積み重ねてきた富県宮城の力が更に成長し、県民の活躍できる機会と地域の魅力にあふれ、東北全体の発展にも貢献する、元気で躍動する宮城です。そして、県民一人ひとりが、安全で恵み豊かな県土の中で、幸福を実感し、いつまでも安心して暮らせる宮城です。」

皆様は、SDGsという言葉を聞いたことがあると思います。これは、2015年に国連で採択され、2030年を目標年とする世界共通の目標で、「誰一人取り残さない」持続可能な世界の実現に向け、貧困の撲滅や教育の充実、働きがいと経済成長の両立、気候変動への対策、陸や海の豊かさを守るといった17のゴールが定められています。新ビジョンは、こうした考え方を取り入れながら策定しました。

現在、被災地は、ハードの復旧は完了の目途がつきましたが、被災者の心のケアなどのきめ細かなサポートについては、継続的に取り組んでいかなければならない状況にあります。また、人口減少・少子高齢化の進展に伴う課題や、大規模化・多様化する災害への備えにもしっかり取り組んでいかなければなりませんし、引き続き、新型コロナウイルス感染症対策にも万全を期していく必要があります。

私は、こうした様々な課題を克服していくためには、県民の皆様をはじめ、企業、NPO、大学・研究機関、行政など多様な主体との連携が不可欠だと思っています。そして、知事就任時に思い描いた、すべての県民の皆様が「生まれてよかった、育ってよかった、住んでよかった」と思える宮城県にするためには、これまで以上に多様な主体が連携しながら、県内経済を安定的に成長させ、生み出された富の循環によって、子育てや教育、福祉などに取り組んでいくことが重要だと考えています。

こうした考え方を背景に、新ビジョンにおいては、「富県躍進!“PROGRESS Miyagi”~多様な主体との連携による活力ある宮城を目指して~」を県政運営の理念として掲げました。

新ビジョンの5本柱

新ビジョンは、5つの柱で成り立っています。具体的には、「被災地の復興完了に向けたきめ細かなサポート」、「富県宮城を支える県内産業の持続的な成長促進」、「社会全体で支える宮城の子ども・子育て」、「誰もが安心していきいきと暮らせる地域社会づくり」、「強靱で自然と調和した県土づくり」の5つです。

本県は、昨年9月、全国に先駆けて「みやぎデジタルファースト宣言」を発表しました。これは、デジタル化を加速することによって、県民生活の利便性の向上や県内産業の活性化、行政運営の効率化に取り組み、地域経済の発展と社会課題解決の両立を目指すものです。

私は、政策を推進する際には、あらゆる分野においてデジタル技術をフルに活用してまいりたいと考えております。

1つ目の柱である「被災地の復興完了に向けたきめ細かなサポート」については、被災地において、中長期的に取り組んでいかなければならないソフト面の課題に取り組もうとするものです。県民の皆様の御尽力によって、多くの被災地でハード事業が完了した一方で、被災した方々の心のケアや地域コミュニティの再生、商工業者や農林水産業者の販路・売上げの回復、東京電力福島第一原子力発電所の事故被害への対応、震災の記憶・伝承などには、引き続き、きめ細かなサポートが必要です。被災地の復興完了に向けて、こうした一つひとつの課題に丁寧に対応してまいります。

2つ目の柱である「富県宮城を支える県内産業の持続的な成長促進」については、新しい産業の創出や様々な産業分野でのイノベーションを促進し、付加価値の創出や生産性の向上を図ることで、県内総生産や県民所得の向上を目指すものです。

これまで、「富県宮城」の実現に向けて、自動車産業や高度電子機械産業をはじめとする企業の誘致や、ものづくり産業の振興等に取り組み、力強い経済基盤の構築を進めてまいりました。引き続き、人口減少・超高齢社会においても、県内経済が持続的に成長することができるよう取り組んでまいります。

3つ目の柱である「社会全体で支える宮城の子ども・子育て」については、社会全体で子育て世代を支え子どもを育てていく環境をつくり、社会全体で未来の宮城を担う全ての子どもの健やかな成長を後押しし、子どもたちが安心して学び続けることができる教育環境をつくろうとするものです。

これまでも、子どもを生み育てやすい環境づくりや、子どもの教育環境づくりに取り組んでまいりましたが、少子化対策や出産・子育て環境の改善が必要となっており、子どもの学力向上やいじめ対策、不登校児童生徒への支援といった面でも更なる取組が必要となっております。

このため、このテーマを1本の独立した柱として新たに設定し、従来より一歩踏み込んだ施策に挑戦してまいりたいと考えております。

4つ目の柱である「誰もが安心していきいきと暮らせる地域社会づくり」については、人口減少と少子高齢化が進んでいく状況においても、地域独自の魅力を向上させ、人口の社会減の進行に歯止めをかけることで、持続可能な地域社会の形成を目指すというものです。

引き続き、年齢・性別・国籍等に関わらず多様な主体がいきいきと社会に参画し、文化芸術・スポーツなどを通じて豊かさを享受しながら、健康で、安全安心に暮らすことができる地域づくりに取り組んでまいります。

最後に、5つ目の柱である「強靱で自然と調和した県土づくり」については、私たち一人ひとりが、自然の大切さを理解し、その恵みに感謝しながら自然と調和のとれた社会をつくり育てていき、また、東日本大震災からの復興の過程で得た経験や知見を生かして、災害対応力の更なる向上などにより、強靱な県土づくりを目指すというものです。

引き続き、豊かな生活の基盤となる環境を次世代へ継承していく社会づくりとともに、自助・共助・公助による防災力の強化や世代を超えて安全性と信頼性が確保される社会資本整備を進めてまいります。

5期目に向けて

これまで、私は「富県共創!活力とやすらぎの邦(くに)づくり」を掲げ、世界的な経済危機や大規模災害など数々の苦難に見舞われながらも、一貫してしっかりとした経済基盤の構築と、それによる福祉や教育、環境、社会資本整備などの充実を目指して取り組んでまいりました。

この16年間で私の目指す県政の基盤はできつつありますが、現在直面している新型コロナウイルス感染症拡大という難局を乗り越え、震災からの復興を完遂させなければならないという大きな課題が残されております。そして、県勢の更なる発展に向けて、新ビジョンが掲げる宮城の将来像の実現に全身全霊を傾けていくことこそが、私に課せられた大きな使命であると考えております。

こうしたことから、これまでの歩みを止めることなく更に前進させるために、5期目にチャレンジすることを決心しました。

この政策集は、新ビジョンを踏まえて、特に5期目で私が力を注ごうと考えていることを数値目標とともにお示しをしました。当選をいたしましたら、この政策集の内容を新ビジョンの実施計画に盛り込み、全力で取組を進めてまいります。

県民の皆様におかれましては、引き続き、格別の御理解と御支援を賜りますよう心からお願い申し上げます。

私の政治理念

私は、自衛官時代に政治を志し、松下政経塾で3年間学びました。松下政経塾は、パナソニックの創業者である松下幸之助さんが、次代のリーダーを育てるために創設したものです。松下幸之助さんは、私が心から尊敬している方で、その考え方には特に大きな影響を受けています。

繁栄によって平和と幸福を

松下幸之助さんは、繁栄を通じて初めて真の平和と幸福を実感できると考えていました。確かに、今日よりも明日、そして5年後、10年後に今より良い社会になる、豊かになれるという希望がなければ、人は幸せを実感することはできないでしょう。

私が、2005年の知事就任後に策定した「宮城の将来ビジョン」において、県政運営の理念を「富県共創!活力とやすらぎの邦(くに)づくり」と掲げたのは、松下幸之助さんの考えを自分なりに咀嚼して、まずはしっかりとした経済基盤を築くべきであると考えたことに由来します。

こうした考え方は今も変わっておりません。引き続き、宮城県を豊かにして、雇用を生み出し皆さんの所得を上げ税収を増やして、その富の循環によって理想とする福祉や教育、環境、社会資本整備などを充実させていきたいと考えています。

対立は調和へのプロセス

松下幸之助さんの言葉に、次のようなものがあります。

「万物はすべて対立しつつ調和しています。これは自然の理法であり、万物はこの理法に基づいて生成発展しています。社会の発展もまた対立と調和から生まれます。これは自然の理法に基づく社会の理法であり、これがなければ社会は沈滞し、その進歩は止まります。思想においても学問においても、また人と人の関係においても、すべてが対立しつつ調和するとき、いっさいのものの平等と独立自主が保たれます。それが民主主義の理念であります。」

私は、震災からの復旧・復興で非常に難しい課題に直面した際に、この言葉に救われました。

10年先、20年先、あるいはもっと先を見据えたときに最善の策は何か。意見が分かれ難しい対応を迫られる場合もありますが、全体の利益を考えて必要だと思うことは、臆することなく提案するとともに、県民の皆様の声にしっかりと耳を傾けながら、この理念の実現に向けて歩んでまいります。

県政運営の基本姿勢

「民の力」を最大限に生かす

これまで、県民の皆様や民間企業・団体等の皆様の「民の力」を最大限活用しながら、将来を見据えた創造的な復興などの取組を展開してきました。これからも、震災復興の過程で生まれた「人のつながり」や「新しい価値観」を生かし、多様な主体との連携・協働を大事にしながら、引き続き、「民の力」を最大限に生かす県政を推進してまいります。

衆知を集める

物事を決めるときには周囲の意見をよく聞き、皆の知恵を生かすことが大切です。これからも、現場に足を運び、県民の皆様の懐に飛び込んで御意見を伺ってまいります。また、引き続き、情報公開等を通じて、県政の透明性を確保するとともに、パブリックコメント等を活用して、県民の皆様に広く県政に参画していただきたいと思います。

さらに、地域の課題解決や活性化を図るためには、基礎自治体である市町村とのパートナーシップを構築していくことが重要です。県内の市町村の意見をよく聞き、県が広域的な調整機能を発揮することにより、市町村の規模や体制に応じた支援を行ってまいります。

最小のコストで最大の効果を上げる

経済社会構造が急速に変化する中、限られた職員と財源で適切に行財政運営を行っていくためには、地域特性や将来世代の負担を考慮に入れながら、より効果的・効率的な県政運営に取り組んでいく必要があります。

このため、時代の変化を見据えながら、合理的根拠に基づく政策形成を推進するとともに、行政のデジタル化による県民サービスの向上、公共施設の計画的な更新・長寿命化や最適化、業務の効率化や働き方改革の推進、新たな社会に対応できる人材の育成など、不断の行財政改革に取り組みます。

広域的な視点に立つ

将来にわたり活力ある宮城を創り出すためには、宮城県のみならず、東北全体が連携し、魅力を高めながら、グローバル社会の中で発展していく必要があります。東北各県の産業や観光、防災など様々な分野において、一体となって国内外に発信することによって、商品やサービスの訴求力を高め、より効果的な地域の魅力向上につながることが期待されます。引き続き、東北各県と連携した取組を進めてまいりたいと考えています。

新型コロナウイルス感染症対策

2020年2月に、県内で1例目の新型コロナウイルス感染症罹患者が確認されてから、1年半が経過しました。本県においては、同年1月に「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置して以来、県民の皆様の安全・安心の確保に向けて、東北大学病院、主要病院、医師会、感染症専門家、看護協会などの関係団体、各市町村と連携しながら、「オール宮城」で医療提供体制の維持・確保等に努めてきました。

特に、同年3月の「主要病院長会議」(座長:東北大学病院長)の設置によって、医師会長や患者受入れ病院の病院長など医療機関のトップ同士が、それぞれの事情を共有しながら、確保病床の拡充や医療スタッフの派遣などについて話し合うことができました。

また、同年12月に立ち上げた医療調整本部において、常駐する医師が新規患者の状態に応じて入院すべきか、ホテル等宿泊施設で療養すべきかなどを一元的に判断する体制を構築できたことは、医療体制の逼迫回避に非常に効果的でした。

さらに、今年5月からは、医療調整本部内に「感染制御・業務継続支援チーム」を立ち上げ、介護施設等における感染管理指導や陽性者の健康観察などを通じた業務継続支援を行ってきました。

残念ながら、これまで県全体で100人を超える尊い命が奪われる事態となりましたが、陽性患者数の累計に占める死亡者の割合(致命率)は、全国と比較しても低水準に抑えることができております。

一方、社会経済活動においては、外出自粛や休業要請等に伴う消費の低迷、観光客の減少、公演等の中止・延期などにより、飲食業や宿泊業、文化・スポーツ関係など地域経済をはじめとした幅広い分野が影響を受けており、これまで、様々な生活支援や事業支援に取り組んできましたが、新型コロナウイルス感染症対応の長期化による景気の低迷が懸念されます。

依然として、感染者数は増減を繰り返し、予断を許さない状況が続いておりますが、ワクチン接種の普及によって感染者の重症化は確実に抑え込むことができております。医療を守りながら人々の活動を維持していけるよう、感染防止対策の徹底と医療提供体制の確保に全力で取り組みつつ、社会経済活動の維持・回復との両立を図ってまいります。

1. 感染防止対策の強化と「オール宮城」の医療提供体制の確保

2. 社会経済活動の維持・回復

復興完了に向けたきめ細かなサポート

これまで

東日本大震災から10年の震災復興期間を経て、生命と財産を守るための高台移転、職住分離、多重防御による災害に強いまちづくり宮城モデルの構築は着実に進展し、被災者の住まいの確保、生業の再建、市街地の再生などのハード面については、多くの被災地で事業が完了しました。

被災市町との緊密な連携の下、復興まちづくりを進めてきた結果、災害公営住宅については、312地区で計画戸数15,823戸全てが完成し、防災集団移転促進事業195地区、被災市街地土地区画整理事業35地区の全てにおいて住宅等の建築が可能となりました。防災集団移転等の対象とならない津波被災地域においても、国の交付金を活用した県独自の住宅再建支援策によって、地域の実情に応じた自力再建が進みました。医療施設、高齢者福祉施設、障害者福祉施設、保育所の復旧も完了しました。

被災事業者の再建については、グループ補助金や県単独補助金、専門家による相談支援事業等により、商工会議所や商工会の被災会員のうち9割を超える事業者が本復旧を果たしております。

津波等で被災した農地約13,000 ha、農業用施設(排水機場)47カ所についても全て復旧が完了し、営農が再開されております。

交通インフラについては、常磐自動車道や三陸沿岸道路が県内全線で開通するとともに、鉄道についても、JR仙石線、石巻線、常磐線といった県内在来線は全線運行を再開し、気仙沼線と大船渡線のBRTによる本格復旧の完成率は9割を超えております。

また、2019年4月には、気仙沼の大島と本土を繋ぐ「気仙沼大島大橋」が供用を開始しました。この開通によって、大島地区住民の日常生活の利便性向上や救急医療活動への支援、観光交流や産業の活性化などが期待されます。

これから

ハード面の復旧・復興が概ね完了した一方で、被災者の心のケアや地域コミュニティの再生、失われた販路の回復、まちの賑わいの創出などのソフト面については、取り組むべき課題が残されており、地域ごとの状況が異なっております。

このため、震災に起因する様々な悩みを抱える方々や、生産・売上げの水準が震災前に回復していない事業者への支援、東京電力福島第一原子力発電所の事故被害への継続的な対応、震災の記憶・教訓の伝承などについて、地域の実情を踏まえながら、中長期的に取り組んでまいります。

1. 生活再建の状況に応じた切れ目のない支援

2. 回復途上にある産業・なりわいの下支え

3. 福島第一原発事故被害への対応

4. 復興事業のフォローアップと成果・教訓の伝承

富県宮城を支える県内産業の持続的な成長促進

これまで

私は、これまで、「富県宮城の実現~県内総生産10兆円への挑戦」を掲げ、自動車関連産業、高度電子機械産業など数多くの製造業の誘致に取り組んできました。その結果、多くの雇用が創出され、本県の産業構造は、サービス産業中心からものづくり産業への転換によって第2次産業の割合が高まり、県内総生産や県民所得も向上しました。

【実績】

東日本大震災からの創造的な復興の一環として、2016年に、全国に先駆けて、国管理空港で初めて仙台空港の民営化が実現しました。空港運営会社である仙台国際空港株式会社は、民間企業のノウハウをフルに活用し、国際線の増便やLCCの拠点化などの実績を積み上げてきております。福島、山形方面との二次交通も充実し、今年2月には、名取市・岩沼市との覚書締結により、空港の運用時間24時間化が可能となったところであり、仙台空港の東北におけるグローバルゲートウェイとしての拠点化が進展しています。

東日本大震災で一時大きく減少した観光客については、JRや航空会社と連携したキャンペーン、各種イベントの開催などによって交流人口の拡大やインバウンドの誘致に取り組み、入込数の回復・増加を図りました。

【実績】

農業では、競争力のある農業経営を実現するため、農業経営の法人化、農地の大規模化・集約化を進めました。林業では、みやぎ県産木材の普及促進を図るため、県産木材の生産量拡大と利用拡大に取り組みました。水産業では、経営体の法人化・協業化、施設の共同利用化、漁場の効率的な利用などの取組により、漁業生産額が増加しました。また、漁業の担い手の高齢化や後継者不足等の課題に対応するため、地元漁業従事者の7割以上を含む法人に区画漁業免許を付与する水産業復興特区制度を導入し、新たな水産業の経営モデルの構築に取り組みました。

【実績】

これから

現在、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、県内経済においては、飲食、宿泊、観光をはじめとする様々な分野に大きな影響が出ています。まずは、この問題を克服し、コロナ後を見据えた取組を進めていく必要があります。

また、県内産業は、復興需要の収束による影響を避けられず、人口減少に伴う地域経済の縮小や担い手不足といった課題にも直面しています。

さらには、これからのSociety5.0が目指す姿を見据えAI・IoT等の先進的技術を積極的に取り入れていく必要があります。

そこで、県内総生産や県民所得の増加など「富県宮城の実現」に向けて、新産業の創出や様々な産業分野でのイノベーションを促進し、付加価値の創出や生産性の向上を図るため、主に以下の5つの取組を進めてまいります。

1. ものづくり産業等の発展と新技術・新産業の創出

イノベーション創出による高付加価値構造への転換と企業誘致の推進

【目標】

研究開発拠点の集積・産学官連携による成長支援

ものづくり産業の成長支援

【目標】

2. 地域資源を活用した観光産業と商業・サービス業の振興

観光資源の創出と受入環境の整備

効果的な情報発信と観光産業の高付加価値化

地域課題やニーズに対応した商業・サービス業の振興

3. 地域の底力となる農林水産業の国内外への展開

農林水産業の持続的発展と食産業の振興

【全般的事項】
【農業に関すること】

【目標】

【畜産業に関すること】
【水産業に関すること】

【目標】

【林業に関すること】

【目標】

県産農林水産物の販路開拓と適切な生産管理への支援

食の安全の確保と相互理解に基づく食の安心の確保

4. 時代と地域が求める産業人材の育成と活躍できる環境の整備

県内への就職・就業の促進と産業人材の育成

誰もが柔軟に働き続けるための環境の整備

キャリアアップに向けた学び直しやリカレント教育の振興

創業や経営力強化の支援

5. 時代に対応した宮城・東北の価値を高める産業基盤の整備・活用

生産・物流・交流基盤の機能強化

産業基盤の整備・有効活用

東北のゲートウェイ機能の強化

社会全体で支える宮城の子ども・子育て

これまで

私はこれまで若い世代が将来に希望をもって結婚、出産、子育てができるよう、切れ目のない支援の充実を図ってきました。

特に、待機児童の解消に向けて、市町村と連携して保育所の整備を進め、事業所内保育所の整備については、国庫補助と併せて使える県単独補助金を創設し、子育て世代にとって働きやすい職場環境づくりを推進しました。

さらに、家庭的保育(保育ママ制度)や一時保育などの各種保育サービスの充実に向けて取り組む市町村を支援し、仕事と子育てを両立していくため、育児休業を取りやすく、職場に復帰しやすい環境づくりを進める企業を支援してきました。

2017年度からは、乳幼児医療費助成の対象年齢を引き上げ、全国で初めて、県内一斉に小学校入学時の教材購入費等の助成事業を始めました。みやぎっこ応援ローンなどにより、子育て家庭の経済的負担の軽減にも取り組んできました。

【実績】

教育分野では、国際的な視野から協働的に課題解決に取り組むグローバルリーダーの育成に向けて、東北地方の公立高校で初めて国際バカロレア(IB)ワールドスクールに認定された仙台二華高校において、今年4月から授業が始まりました。

特別支援教育では、特別支援学校の中等部を卒業した生徒が後期中等教育を受けられるようにするため、公募によって民間主導型の整備を進め、今年4月、旧教育研修センター跡地において、軽度の知的障害のある生徒の就労支援や就職に向けたキャリア教育を行う私立の特別支援学校が開校しました。

幼児教育では、幼児期を生涯にわたる人格形成の基礎を築く時期と捉え、「学ぶ土台づくり」を推進してきました。今年4月からは幼児教育センターを設置し、幼児教育の質的向上を図るため、公立私立・施設類型の区別なく、専門・専任の職員が研修会の開催、アドバイザーの派遣、幼児教育に関する研究等に取り組んでいます。

不登校の児童生徒については、スクールソーシャルワーカーや支援員等の配置・派遣、心のケア・いじめ対策・不登校支援等支援チームや児童生徒の心のサポート班の運営により、多様な支援を行ってきました。特に、支援拠点となる「みやぎ子どもの心のケアハウス」については、市町村による体制整備を積極的に支援し、2021年3月末までに、県内33市町村に設置されました。

これから

晩婚化と未婚化の進行も影響し、本県の合計特殊出生率は低下傾向にあり、2020年では1.21と全国平均の1.34を下回る水準となっております。また、待機児童数がゼロになっている市町村もありますが、県全体では待機児童が解消されない状態が継続しております。

児童生徒の教育については、家族形態の変化、地域のつながりの希薄化等により、その取り巻く状況が変化しています。

今後は、これまで以上に、社会全体で子育て世代を支え、子どもを育てていくとともに、未来の宮城を担う全ての子どもの健やかな成長を後押しし、安心して学び続けることができる教育環境をつくります。このため、主に以下の4つの取組を進めてまいります。

さらに、子ども・子育て施策等の安定的な財源を確保し、政策効果の高い新規施策を展開することを目的として、取崩し型の特定目的基金「(仮称)次世代育成・応援基金」を造成し、向こう10年間を想定して集中的に取り組みます。

1. 結婚・出産・子育てを応援する環境の整備

結婚・妊娠・出産の希望を叶えるための支援

妊娠・出産・子育て期の切れ目ない支援

【目標】

社会全体で取り組む子育て支援体制の充実と気運の醸成

【目標】

2. 家庭・地域・学校の連携・協働による子どもを支える体制の構築

成育環境の整備や教育機会の均等

児童虐待の防止や社会的養育体制の充実

子どもの基本的生活習慣の定着や家庭教育支援の充実

家庭・地域・学校の連携・協働の推進

3. 多様で変化する社会に適応し、活躍できる力の育成

豊かな人間性や社会性の育成

自己実現のための確かな学力の育成

社会のグローバル化や情報化に必要な資質・能力の育成

健康な身体づくりや体力・運動能力の向上

【目標】児童生徒の体力・運動能力調査における体力合計点の全国平均値との乖離

4. 安心して学び続けることができる教育体制の整備

多様な子どもたちを支える魅力や特色ある学校づくり

共生社会の実現に向けた教育の推進

いじめ対策の総合的な推進と不登校児童生徒への支援の充実

教職員支援体制の充実

誰もが安心していきいきと暮らせる地域社会づくり

これまで

私は、これまで、すべての人が生涯を通じてその持てる能力を発揮し、豊かな人生を送ることができるよう、安心して暮らせる地域づくりを進めてきました。

特に、地域医療の分野では、医師不足対策を強化するため、国内では37年ぶりとなる医学部の新設に取り組み、2016年4月に東北医科薬科大学医学部が新設されました。第1期生は、いよいよ来春卒業することになります。県の修学資金を活用した学生は、卒業後2年間の初期研修を終えた後、県が指定する病院で10年間勤務すれば返還を免除するという仕組みをつくりましたので、今後、多くの医師が地域医療に従事するようになります。

さらに、2016年10月には、ドクターヘリの運航を開始しました。県内全域を運航範囲として、基地病院である仙台医療センターと東北大学病院から交代で出動し、原則として毎日運航しています。2020年度の出動回数は300回で、救急患者の救命率の向上や後遺症の軽減などに大きく貢献しています。

高齢者福祉の分野では、特別養護老人ホームの定員数の増加に努め、担い手となる介護人材の確保にも積極的に取り組んできました。

【実績】

また、メタボリックシンドローム該当者が多いなどの山積した健康課題の解決に向けて、2016年2月に「スマートみやぎ健民会議」を設立し、産官学が連携して県民の皆様の健康と幸せを実現するための県民運動を推進してきました。

誰もが働きやすい環境づくりに向けては、女性が活躍する企業の認証や、先進的な働き方改革を進めている企業の表彰を行ってきました。

これから

これまでに引き続き、少子高齢化と人口減少が進んでいく状況においても、それを乗り越え地域の活力を維持し、誰もが安心していきいきと暮らすことができる地域社会を目指し、主に以下の5つの取組を進めてまいります。

1. 就労や地域活動を通じた多様な主体の社会参画の促進

様々な状況に対応した就業の支援

働きやすい環境の整備と就労を通じた社会参画の促進

地域コミュニティの機能強化と地域活性化の支援

【多様な主体の参画による地域づくり】
【農山漁村地域の活性化】

外国人が活躍しやすい社会の構築

2. 文化芸術・スポーツ活動と生涯学習の振興

文化芸術の振興

文化芸術の多方面への活用

生涯スポーツの振興

【目標】

スポーツで活躍できる人材の育成

様々な機会の学びの活性化

3. 生涯を通じた健康づくりと持続可能な医療・介護サービスの提供

心身の健康づくりの支援体制等の強化

切れ目のない医療提供体制の整備

感染症対策の推進

高齢者を支える体制整備の促進

【目標】

4. 障害の有無に関わらず安心して暮らせる社会の実現

障害者の権利擁護や社会的障壁の除去

ユニバーサルデザインのまちづくりの推進

障害者や難病患者等を支える体制整備の促進

5. 暮らし続けられる安全安心な地域の形成

地域交通の維持や地域に適した柔軟な移動手段の普及支援

地域経済の循環や商店街の活性化等によるまちづくりの支援

地域の安全安心の確保

強靱で自然と調和した県土づくり

これまで

私は、これまで、人と自然が調和した美しく安全な県土づくりに向けて、経済・社会の発展と環境保全の両立、豊かな自然環境等の保全、大規模災害による被害を最小限にする県土づくり等を進めてきました。

経済や社会の発展と両立する環境負荷の少ない持続可能な地域社会の構築に向けては、地球温暖化対策等の観点から、再生可能エネルギーの導入に取り組んできました。特に、2014年に、国が水素社会の実現に向けたロードマップを発表したことを踏まえ、東北で初めてFCV(燃料電池自動車)を導入しました。2017年3月には四大都市圏以外で初めて本格的な商用水素ステーションがオープンし、今年8月には、2基目が供用を開始しました。

豊かな自然環境等の保全に向けては、都市近郊の緑地を保全し、県内の貴重な植物や野生動物の生息地となっている良好な自然環境を積極的に保全していくため、2017年に、大衡村の昭和万葉の森(約22ha)と利府町、大郷町にまたがる番ヶ森山周辺地域(約800ha)を新たに緑地環境保全地域に指定しました。

大規模災害への備えについては、東日本大震災の教訓を踏まえ、高台移転、職住分離、多重防御による大津波対策を推進し、防潮堤等の災害復旧・復興については、農地海岸、漁港海岸、建設海岸、港湾海岸等の総延長約233kmのうち、88%にあたる約205kmが完成しました(2021年7月末現在)。引き続き、残りの区間の早期完成に向けて取り組んでいきます。

また、災害時に迅速かつ的確に災害応急活動を実施するための広域的な防災体制の整備を進めました。2016年に、傷病者の域外搬送拠点や支援部隊の一時集結場所、物資輸送の中継拠点の機能を担う広域防災拠点の計画地として仙台市宮城野区に用地を取得し、県内7圏域8ヵ所の圏域防災拠点や市町村の地域防災拠点との連携体制を構築しながら、大規模災害に効果的に対応できる体制づくりを進めているところです。

さらに、水道用水供給事業、工業用水道事業及び流域下水道事業について、今後の人口減少等に伴い給水収益が減少する一方で、送水管等の更新需要が増大するなど、厳しさを増す経営環境においても持続可能な水道経営を確立するため、「みやぎ型管理運営方式」の構築に向けた検討を進めてきました。今年4月には、事業者選定手続きにおける優先交渉権者と基本協定を締結し、県議会6月定例会において関連議案が可決成立しました。今後、来年4月からの事業開始に向けて、更に準備を進めてまいります。

これから

東日本大震災の教訓を踏まえ、災害に強い県土づくりに向けて整備した社会インフラについては、豊かな自然環境とともに、レジリエントな社会を支える貴重な資産として有効に活用し維持しながら、しっかりと後世に引き継いでいく必要があります。

また、「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ」の脱炭素社会の構築に向けて、地球温暖化対策をはじめとする環境への配慮と地域経済の発展の両立を図り、将来世代への責務を果たすことが必要です。

こうした観点から、私たち一人ひとりが、自然の大切さを理解し、その恵みに感謝しながら自然と調和のとれた社会をつくり育てていき、また、東日本大震災からの復興の過程で得た経験や知見を生かし、災害対応力の更なる向上などにより、強靱な県土づくりを目指します。このため、主に以下の4つの取組を進めてまいります。

1. 環境負荷の少ない地域経済システム・生活スタイルの確立

環境課題の理解と環境配慮行動の促進

省エネ行動、再生可能エネルギー等の利用促進

環境関連産業の振興や環境に配慮した技術・プロセスの導入の促進

廃棄物の削減や有効活用の推進

廃棄物の適正処理の推進

2. 豊かな自然と共生・調和する社会の構築

自然環境及び在来野生生物の保全や保護の推進

【自然環境や生態系の保全】
【野生鳥獣の適正な保護管理】

自然環境に関する情報発信・学びの環境整備

自然環境や地域資源の保全活動の支援

都市と農山漁村の交流促進・景観保全や地域の魅力の発信

3. 大規模化・多様化する災害への対策の強化

地域防災体制の活性化

県民の防災意識の向上

防災教育の充実や地域と連携した学校防災体制の構築

大規模化・多様化する災害に備えた防災体制の充実

【防災・減災機能の発揮や施設の耐震化等】
【災害情報の提供体制や関係機関との連携の充実】

4. 生活を支える社会資本の整備、維持・管理体制の充実

社会資本の整備と長寿命化対策の推進

企業や地域社会と協働した公共施設の管理の促進

※上記のほか、新・宮城の将来ビジョン実施計画に記載された取組を実施します。

ふるさと宮城の再生と発展のために
これからも全力で頑張ります!

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